マツエクのグルーには、高温多湿に弱い特性がありますよね。そのため、夏場などは特に「冷蔵庫に入れて冷やしておいた方が良いのでは？」と思われがち。みなさんの中にも、夏になると毎年冷蔵庫にグルーを入れている人もいるのではないでしょうか。しかし、実はその方法、間違っているかもしれません。今回の記事では、グルーの特性と適正温度でグルーを保つメリット、そしてグルーの正しい保管方法について勉強していきます。

グルーの温度が上がると起きること

近年、夏場の外気温は40℃を超える日も珍しくありません。冷房を使用していなければサロン内の室温は50℃を超える日もあるでしょう。そこで気になるのが、グルーの適正温度が18～23℃であること。もし50℃のサロン内にグルーを置いていた場合、どのような状態になるのでしょうか？

グルーを高温で保管したら…商材メーカーの見解は？

とあるメーカーに問い合わせたところ、

との回答がありました。（これは一例です。メーカーによってデータは異なるため一概には言えません）
一方、アイリストの肌感覚としては、

といった認識を持つ人もいるかもしれませんね。

このようなズレが発生する一つの原因は、保管状況の違いにあります。

メーカーによる見解は、高い室温に保管し続けた場合の検証結果。一方、サロンでは多少なりとも室温が上下しますよね。これはメーカーの想定する保管状況とは異なるため、アイリストの肌感覚では違う結果が出てしまうのです。
夏のサロンは、営業時間外になると冷房を切っていますよね。しかし、真夏日になると夜でも室温が高くなるでしょう。そして翌日サロンの営業が始まり、再度冷房が稼働すると、室温は段々と下がっていきます。1日の中で、サロンの室内は何度も上下していることが理解していただけたでしょうか？この気温の変化も、グルーの質を変化させてしまう原因の一つです。

グルーの温度変化、硬化速度への影響は？

夏場のグルーの温度変化、小さなボトルの中では一体どんな変化が起こっているのか、もう少し考えてみましょう。

真夏の冷えたペットボトルを想像してください。冷蔵庫から出したペットボトルを常温にしばらく置いておくと、次第に容器の内外に結露が発生しますよね。そして結露とは空気中の水蒸気、水分です。

グルーも急激な温度変化が起こったらこのペットボトルと同様の現象が起こります。冷蔵庫ではなく空調によって冷やされているため常温との温度の差は少なく、結露の量も少ないはずですが、それでも水分は水分。グルーと水分が接触したら…アイリストの皆さんであればどれほどまずい状況かお分かりいただけるでしょう。グルーの劣化によって粘り気が強くなりドロドロとしたり、糸を引いたりするようになり、硬化速度も遅くなることがあります。モチも悪くなるでしょう。このようなグルーはお客様に提供する前に、新しいものに交換しなければなりません。

グルーを適度な温度で保つメリット

グルーを保管するときの適正温度は、18～23℃とされています。
この温度を守ると、先ほども紹介したグルーの劣化による

といった現象を防ぐことができます。

劣化していないグルーは、速乾性・接着力・持続力のすべてが購入当初の状態、アイリストにとって扱いやすい状態です。想定した通りの使い勝手であるため、施術もスムーズに進められるでしょう。モチも良いため、お客様にとっても喜ばれるはずです。

グルーの保管に適した冷蔵庫とは？

ここまで読んできて…
「室温が高くなってグルーが劣化すると困るから、とりあえず冷蔵庫に入れておこう」
という方もいるかもしれませんね。ただ、それには注意が必要です。

家庭用冷蔵庫の設定温度は、0～10℃。グルーを保管するには冷えすぎてしまいます。温度が高いときはもちろん、低い場合もグルーにとっては良い環境とはいえません。温度の低下したグルーは分子の動きが悪くなり、接着力が低下してしまいます。そのため、施術時にはグルーを常温にしてから使用することを推奨されています。グルーの温度を下げすぎてしまう家庭用冷蔵庫は避けた方が良いでしょう。

そこでおすすめしたいのが、化粧品冷蔵庫です。商品によって設定温度は異なりますが、家庭用冷蔵庫よりも高めの温度でグルーを保管可能。18℃程度で設定しておけば、グルーの劣化も防止できます。夏の定休日や夜間などでサロン内の室温管理がどうしても難しい場合、冷房を付けたままにしてもいいですが、化粧品冷蔵庫を使えば、より効率的に確実に最適な保管状況をキープできるはずです。

ただし、使用時には1点注意が必要。それは、サロン内の室温を25～28℃程度まで下げてから取り出すこと。急激な温度差を生まないために、必ずサロン内の室温が下がったことを確認してから取り出すようにしてください。
なお、結露を防ぐ観点から、本来18～23℃に保たれた冷暗所での常温保存が望ましいとされています。化粧品用冷蔵庫を使用する場合も、可能な限り夜間や定休日のみに限り、普段はサロン内の冷暗所で常温保存するよう心掛けましょう。

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まとめ

わたしたちが使用しているグルーは、意外と繊細。きめ細やかに管理しておかなければ、本来の力を発揮できなくなるのです。特に外気温が上がる夏の夜間や定休日、そして暖房を効かせすぎてしまう冬の営業中は、適切な温度になっているかこまめに確認しましょう。その上で、もし少しでもグルーが劣化していると感じたら、早めに新しいグルーと交換することがアイリストの義務です。もったいないと感じても早めに取り換え、いつでも新鮮なグルーをお客様に提供していきましょう。

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