同じグルーでなぜしみる時としみない時があるの?「グルーの分離」に気を付けよう

この記事をシェアする
サムネイル

何度も使用しているグルーなのに、なぜか今日は刺激臭が強い…という経験はありませんか?刺激臭が強い=グルーの硬化時に発生するホルムアルデヒドが多く発生しているのでしょう。ホルムアルデヒドの放出量は、グルーの種類や施術する環境、方法などによって異なります。しかしもし、いつもと同じグルーを同じ環境下で使用したにも関わらず、突然刺激臭が強く感じられたなら、それは“グルーの分離”が原因かもしれません。今回の記事では、なぜグルーの分離が染みる原因となるのかについて詳しくご紹介します。

グルーが染みる!考えられる主な原因とは

アイリストであれば、「グルーが目に染みる」とお客様から言われた経験があるでしょう。もちろん、厳密にはグルーではなく、グルーの硬化時に発生するホルムアルデヒドが染みています。ホルムアルデヒドは、グルーの主成分であるシアノアクリレートが硬化するタイミングで発生するため、現在マツエクのグルーの中で、ホルムアルデヒドが全く発生しない商品はありません。しかし、先ほども紹介した通り、ホルムアルデヒドの放出量はさまざまな要因によって変化します。
・グルーの種類
・サロンの室温
・グルーの分離
以上が、ホルムアルデヒドの放出量が変化する主な要因です。1つずつ解説していきましょう。

【グルーの種類】
マツエクのグルーの主成分はシアノアクリレート。用途や特性によって、5つの分類に分けられます。中でも、マツエクで使用されているグルーは、エチルとブチルです。下記の表をご覧ください。

名称

用途

刺激性

臭い

粘度

強度

メチル

工業用に近い・

金属・壁

強い

強い

弱い

エチル

強い

強い

弱い

メトキシエチル

プラ・ゴム・金属

弱い

弱い

強い

ブチル

医療用・プラ・
ゴム・金属

弱い

弱い

強い

オクチル

弱い

弱い

強い

×

2つのグルーを比較してみると、エチルの刺激性が強く、ブチルの刺激性が弱いことが分かります。その刺激性の原因は、グルーが硬化する際に発生するホルムアルデヒドです。ホルムアルデヒドとは、グルーが硬化するタイミングで発生する気体。無色透明のため、目でその放出量を確認することはできません。しかし、ホルムアルデヒドは人間の粘膜に触れると刺激を与えます。目や鼻、喉などにホルムアルデヒドが付着すると刺激を感じ、症状によってはシックハウス症候群のような強い刺激を引き起こすことも。
ホルムアルデヒドの放出量が多ければ多いほど、刺激を感じる可能性は高くなり、また刺激を感じた場合の強さも増すでしょう。そのため、刺激性の強いエチル=ホルムアルデヒドの放出量が多く、反対に刺激性の弱いブチル=ホルムアルデヒドの放出量が少ないと言えます。
以上の理由から、エチルグルーを使用する際はグルーが目に染みやすくなります。もし刺激が気になるお客様がいれば、刺激の弱いブチルグルーをオススメしてみてはいかがでしょうか。

【サロンの室温】
同じエチルグルーを使っていたとしても、放出量が変化するケースもあります。それは、室温が適切に保たれていないとき。
グルーを保管する際の適正室温は、夏は25℃程度、冬は20℃程度とされています。
この温度は、グルーの放出するホルムアルデヒドの量が、安全基準値内に収められる目安です。サロン内の室温が上昇すると、ホルムアルデヒドの放出量も増加するため注意しなければなりません。夏はもちろん、冬の暖房も温度が上がりすぎないよう、アイリストは頻繁にサロンの室温を確認する必要があります。
さて、ここまではアイリストにとっては常識中の常識。見落としがちなポイントは、次に紹介するグルーの分離です。

【グルーの分離】
グルーには主成分であるシアノアクリレートの他、増粘剤や着色剤、防腐剤などが配合されています。どの商品も商品開発時には、全体のバランスを考えながら1つひとつの成分の配合量を定めているはずです。もちろんその配合は商品によって異なりますが、グルーを適正量取り出したときにベストな状態になるよう、計算されています。しかし、残念ながらシアノアクリレートと、それ以外の副成分は分離しやすい傾向が。そのため、使用する前にはしっかりと容器を振り、中の成分に偏りのない状態にしなければならないのです。

では、もし容器を振らなかったら、グルーはどのような状態になるのでしょうか。グルーが分離したとき、1番上に浮いてくる成分はシアノアクリレート。次に増粘剤や着色剤などの副成分が沈んでいます。もしそのままの状態でプレートにグルーを取り出したら、1番上にあるシアノアクリレートばかり出てきてしまいますよね。
シアノアクリレートは空気中の水分と反応すると、硬化を始めるとともに、ホルムアルデヒドと呼ばれる揮発成分を発生させます。この揮発成分が目や鼻、喉に付着すると、粘膜の水分に反応し、刺激を与えるのです。目に入ると痛みを感じたり充血するなどし、鼻に入るとツーンとするような刺激臭を感じます。喉に痛みを感じる人もいるでしょう。
分離したグルーとは、以上のような刺激性の高いシアノアクリレートが多く配合された状態。そのため、プレートに出す前から刺激臭がしたり、気づかず装着したときに、いつもより染みやすくなるのです。

なぜ毎回振らないとだめなの?

マツエクが普及し始めた当初は少しグルーを立てて置いておくだけで、分離していました。しかし、ありがたいことに今では技術の向上に伴い、保管段階で完全に分離してしまうグルーは少ないですよね。ではなぜ、分離する可能性が低下したにもかかわらず、毎回グルーを振らなければならないのでしょうか?
それは、今販売されているグルーでもまったく分離しないわけではないためです。
特に冬は要注意。温度が低いグルーには、分離しやすい性質があります。新しいグルーだから大丈夫と思っていても、実は分離が始まっていて、プレート上に出したタイミングで気付くケースも少なくありません。その場合、刺激臭も強いため、お客様に不快な思いをさせる可能性もあるでしょう。

もちろん、刺激の強さだけが理由ではありません。みなさんの中にも、アイリストとして働き始めたばかりの頃、「グルーはしっかりと振ってから使用しましょう」と教わった人が多いですよね。それは、分離したままだと想定されたグルーの力を発揮できなくなるためです。驚くことに、接着力や持続力、速乾性の全てが低下してしまいます。また、配合された着色剤も分量が少なくなるため、マツエクならではの“アイライン効果”も軽減。仕上がりやモチの良さ、安全性のすべてにおいて、悪影響があると言えます。
だからこそ、グルーは毎回しっかりと振り、中の成分を均等にする必要があるのです。

目安として、前回使用したときから数日経過しているグルーは100回以上、直前に使用したグルーであっても最低30回以上は振るように意識してみてください。また、しっかりと振っていたとしても、プレートに出したときに透明な部分があればまだ分離している証拠。透明の部分がなくなるまでしっかりと振り直しましょう。

画像で比較!グルーの分離とは

最後に、分離したグルーの状態を画像で確認しましょう。

左:混ざりきったグルー
真ん中:振りが足りず、混ざりきっていないグルー
右:振らずにそのまま出したグルー
です。いかがでしょうか?見た目でもはっきりと分離が確認できますよね。特に右側のグルーは、透明の部分と黒い部分が明確に分かれています。容器の中でもシアノアクリレートと他の成分が分離していることでしょう。キャップを外しただけで、刺激臭を感じる可能性も高い状態です。

さらに注意すべきは、中央のような状態のグルーです。しっかりと振った後でも、このように分離した状態のままであるケースも少なくありません。何度も振ったから分離されていないだろうと思い込んだまま使用すると、お客様の目に染みたり、体調を悪くされる場合も。必ずプレート上のグルーが分離していないか目視で確認してください。
左にあるしっかりと混ざりきったグルーと比較してみましょう。こちらは色も艶があり、キレイな円形を描いています。一方、中央のグルードームは色が濁り、崩れていますよね。本来あるべき状態は、左の丸いグルードームです。プレートに出したとき、違和感があれば出し直すようにしてください。

また、カーボンの入っていないグルーも要注意。透明だったり、薄いピンク色だったりしますが、黒いグルーよりも分離が判別しにくくなっています。カーボンの配合されていないグルーは特に意識して、中の成分をかき混ぜるように容器を振っておきましょう。

まとめ

施術中、目に痛みを感じる理由として見落とされがちな、グルーの分離。サロンの環境やグルーの種類によって、施術時の染みやすさが変わることは知っていても、グルーの分離によって刺激が強くなることは把握していなかった…というアイリストもいるかもしれませんね。アイリストにとってグルーは相棒のような存在であるため、数ある商品の中から自分に合ったグルーを徹底して探している人も多いでしょう。しかし、取り扱い方法によっては、期待通りのパフォーマンスができなくなることも。刺激が強くなるだけでなく、グルーとしての機能も低下するとなると、せっかくのグルー選定も意味がなくなりますよね。こだわりのグルーを使って、大切なお客様に心から満足してもらえるよう、今後は「グルーの分離」をしっかりと防止していきましょう。

この記事を読んだあなたにおすすめの関連記事

 

この記事をシェアする