マツエクサロンの「これは困った」施術前から涙目のお客様、どう対応すればいい?

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今回は、お客様の“涙”がテーマ。よくあるのは、グルーの揮発成分やテープの物理的な刺激によって、施術中のお客様の目に涙がにじむケース。しかしごく稀に、施術前から涙が出ている、いわゆる“涙目”のお客様がいらっしゃいます。目にゴミが入ったなど、明らかな刺激がないのに涙が出る原因や施術の際の対応をいくつかご紹介します。

涙が出やすい方の原因とは?

マツエク用のグルーは、空気中の水分や自まつげ・エクステの表面に付着している水分と反応して硬化します。つまり、グルーの硬化に必要な水分はごく微量。グルーが涙のような多量の水分に触れてしまうと、グルーの表面だけが急速に硬化し、中心部の硬化が十分でない状態になる場合があります。焼肉で例えるなら、「火力が強すぎて肉の表面は焦げているのに、中まで火が通らずレア状態」といったイメージ。
すると、グルーの接着力が弱まったり、白化現象が起きたりしてしまう恐れもあります。またグルーの主成分であるシアノアクリレートの揮発成分は、水に溶けやすい性質を持っていることにも注意が必要です。なぜなら涙に溶けた揮発成分が刺激となり、涙の分泌を促進する可能性もあるから。

そのため、施術中のお客様の目頭に涙がたまっている、または目尻から涙が流れそうになっている場合には、すぐに綿棒やティッシュ、コットンなどで涙を吸収するのが鉄則。このようにマツエクの施術の際には、お客様の涙には細心の注意を払わなければなりません!しかし、中には施術前から涙が出ていたり、涙目だったりするお客様がいらっしゃいます。

施術前からお客様の目に涙が!一体、なぜ?

そもそも、涙が目のどの部分から出て、どこへ向かうのかを知っていますか?
涙は上まぶたの外側にある涙腺(るいせん)から分泌され、目頭の上下にある小さな穴(涙点・るいてん)から顔の内側に入り、涙小管(るいしょうかん)という細い管を通って涙嚢(るいのう)という袋にたまります。そして、鼻涙管(びるいかん)から鼻腔へと流れて行きます。つまり、泣いた時に出る鼻水の正体は“涙”なんです。あふれた涙が鼻から出て来るというワケ。

引用元:たなか眼科 流涙症(涙がこぼれる・涙が潤む・涙目)

  • 涙がしょっちゅう流れている
  • 涙で視界がぼやける
  • 悲しいワケではないのに涙が出る
  • 外で風に当たると急に涙が出る
  • 目やにが多い など


上記のような症状は、流涙症(りゅうるいしょう)と呼ばれます。よく言う“涙目(なみだめ)”のこと。流涙症は、前述のとおり本来鼻へ抜けて行く涙のルートのどこかが詰まったり、細くなったりすることが主な原因であり、手術で治療を行うこともあります。

また、下記のようなケースに伴って、涙の分泌が増えていることも流涙症を引き起こす原因となるそうです。

  • 結膜炎
  • 角膜炎
  • 逆さまつげ
  • ドライアイ など


日本眼科医会のHP(ドライアイに悩む方へ―生活の注意と治療の目安―)には、日本では少なくとも1000万人以上がドライアイの症状に悩まされていること、特にオフィスワーカーの場合、全体の60%以上がドライアイまたはドライアイの疑いがあるという結果が得られたことなどが記載されていました。これらの情報からマツエク施術前から涙目の場合、流涙症の症状である可能性が高いこと。そして流涙症の原因のひとつとして、ドライアイが考えられることが分かりました。

施術前の涙目への対処法は?

施術前にも関わらずお客様が涙目だった場合、アイリストとしてまず確認すべきことは結膜炎や角膜炎などの眼病を患われていないか確認することです。眼病の有無は、施術前のカウンセリングでも確認しますが、今一度「普段から涙目がちですか?結膜炎などが原因で涙目になることもあるようです。」などとお声かけをしてみましょう。もしその段階で、眼病が疑われた場合には、施術を中止し、眼科などの医療機関を受診いただくのがベスト

施術を行えるのは、眼病の症状が見られず(ドライアイかもしれないが判断不能)、体調良好(涙が出る以外、特に変わりはない)。そして、涙が原因でマツエクのモチが悪くなる可能性があることをご了承いただいた上で、マツエクの施術を希望されている場合に限ります。では、涙目のお客様の施術において、どのような対処が求められるのでしょうか。

施術前に点眼薬をご使用いただく

ドライアイが原因で流涙症になっている方の場合、常に目が乾くため必ずと言って良いほど点眼薬を携帯されています。その自前の点眼薬を施術前にさしていただくのが効果的です。
「でも…元々涙目の目に目薬をさしたら、なおさら水分があふれるんじゃ?」と不思議に思った方もいるのではないでしょうか。実は、ドライアイが原因で涙の質が悪くなり、いくら涙を出しても角膜への酸素・栄養補給ができにくい状態になっている方もいるそうです。そのためドライアイによる流涙症には、質の良い涙の代わりとなるドライアイや涙目専用の点眼薬を使用することで一時的に涙が出る量を少なくすることが期待できます。もちろん点眼後は、目のまわりに付着した水分はしっかりとふき取ってくださいね。

ドライアイのマメ知識

ドライアイの中でも目の表面を涙で洗い流す力が弱いタイプの場合、目薬に含まれる防腐剤によって症状が悪化する可能性があるそうです。なぜなら、点眼した薬を涙で洗い流すことが難しく、目の表面に防腐剤が残ってしまうから。市販の点眼液を使用すればするほど目の具合が悪くなるケースもあるので、防腐剤不使用の人工涙液・ドライアイ(涙目)専用の点眼薬を使用するのがおすすめです。『目の乾き対策には、どんな目薬でもOK!』ではないことを覚えておきましょう。

常にお声かけを実施する

施術を開始し、テープを貼ると、お客様の目から涙が出ているかどうかを判断しづらくなります。またエクステの装着に集中していると、涙に気付けないこともあるでしょう。そのため、施術を開始したら、普段以上に丁寧なお声かけを心掛けましょう。

「目元に違和感はありませんか?」
「涙が出そうになったら、教えてくださいね!」など

お声かけのタイミングで、涙がにじんでいないか、流れていないかの涙チェックも実施します。

涙に気付いたら、すぐにふき取る

マツエクの施術の完成度を高めるためには、少しの涙も見逃さないことが大切!元々涙が出やすいお客様なので、施術中、涙に気付いた次の瞬間には流れ出てしまった…さらに涙に溶けたシアノアクリレートの揮発成分が目を刺激し、涙が止まらなくなってしまった!なんてケースも起こり得ます。
そのため、ほんの少しでも涙が見えたら、綿棒やティッシュ、コットンなどを使ってふき取っておきましょう

まとめ

涙の基礎や涙流症の原因、そして施術前から涙目のお客様への対応を学びました。目に明らかな症状がない場合、ドライアイが原因となっている可能性があります。もしお客様が点眼薬をお持ちなら、施術前に点眼いただくのがおすすめです。施術中も、お声かけと涙のふき取りをお忘れなく!とはいえ、流涙症は他にもさまざまな原因が考えられるため、涙目が気になるお客様には眼科への受診を促しましょう。191224Euk

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