スタッフが増えたら考えよう!「人事考課制度」のポイントや実施例とは

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ひとり、またはごく少人数で立ち上げたサロンが軌道に乗り、スタッフの数がだんだんと増えていくことは経営者や管理者にとって大きな喜びですよね。サロンの規模が拡大するときに考えたいことは、スタッフを評価するための「人事考課制度」の整備。こちらの制度を導入することで、スタッフの意欲アップにつながったり、管理者がスタッフの抱える課題に寄り添いやすくなったりするでしょう。今回の記事では、マツエクサロンでも取り入れたい人事考課制度に迫ります。制度の目的やポイント、実施例についても紹介!スタッフにとってより良いサロンにするためにも、ぜひ参考にしてくださいね。

「人事考課制度」って何?なんのためにあるの?

制度の内容について詳しく触れる前に、まずは「人事考課」という言葉の意味を押さえておきましょう。

そもそも「人事考課」とは? 

人事考課とは、

ポイント

従業員の業務への貢献度職務の遂行度実績力などを、一定の基準で評価すること

 

①の評価内容をもとに、賃金管理昇進能力開発などの人事に反映すること


と定義されています。
そして、組織の中で上記の①と②を行う体制こそが人事考課制度
日本ではバブルの崩壊とともに浸透し始め、現在では従業員の能力・業績達成度のアップを同時に行える制度として重要視されています。
人事考課は、半期または年に1度のペースなどで定期実施されているケースが多いようです。実施間隔は、サロンの規模によって検討すると良さそうですね。

では、人事考課制度は一体何のためにあるのでしょうか?

人事考課制度の目的 

人事考課制度の目的は、主に次の3つがあります。それぞれを詳しく見ていきましょう。

待遇の根拠を明確にするため

一定の評価基準が設けられた人事考課制度があることで、従業員ひとりひとりの賃金や昇進などの待遇を客観的に決められますよね。それにより、能力や業務内容の違いからくる不平等さをなくすことが可能です。

会社の方向性・従業員のあるべき姿を示すため 

「評価されるポイント=評価軸」をはっきりさせることで、会社が目指す方向性を示せます。すると、「従業員が取るべき言動=行動指針」も定まりますよね。結果的に、独自の風土が形成され、ある程度同じ方向を向いた組織になれるのです。

従業員のモチベーションをアップさせるため 

評価軸があることで、従業員は自分に期待されている仕事が分かりやすくなります。その結果、使命感を持って意欲的に業務に取り組めるでしょう。他者から目標に対する評価を受けると達成感が得られ、それがさらにモチベーションの維持へとつながります。

キャリアアップのイメージがしやすくなるという効果も

先ほどお伝えした目的以外にも、人事考課制度はキャリアアップ意識にプラスに働く効果があるとも言われています。それはなぜでしょうか?
その理由を探るためにも、ここで人事考課制度の観点を整理しておきましょう。

人事考課制度の考課対象 

従業員を一定の基準で評価するときのポイントは、大きく分けて次の3つです。

業績考課 

業績考課とは、目標に対する達成度での評価のこと。目標までの過程ではなく結果、つまり個人やチームの目標をどれくらい達成したかで表されます。
マツエクサロンにおいては、

顧客単価・時間単価などの単価目標

 

リピート率・クレーム率の数値目標


などの達成度も業績考課に含まれるでしょう。

能力考課 

能力考課とは、従業員の知識や能力に対する評価のこと。知識や能力は図ることが難しいため、それらが発揮された結果での評価となります。
たとえば、マツエクサロンでは

気難しいお客様からのクレームを円満に収めた

 

グルーアレルギーを訴えるお客様へ的確に対応した


などが能力考課に入るでしょう。

情意考課(行動考課・執務態度考課) 

情意考課とは、仕事に対する姿勢・態度・意欲に関する評価のこと。普段の勤務態度や業務を行うときの立ち居振る舞いなどが評価対象です。
マツエクサロンでは、

管理者や先輩アイリストなどからの指示に、どれだけ従えるか

 

チームワークを意識して、サロン業務に取り組めているか


などがチェックポイントになるでしょう。

このように、人事考課制度は目標への達成度(業績考課)・知識や能力(能力考課)・仕事へ取り組むときの姿勢(情意考課)の3本柱から成り立つもの。
いろいろな面から自分自身に足りない部分を客観的に把握できるため、

「トップアイリストに肩を並べるには、業績目標の達成度を○%上げれば良いんだ」

「不測の事態への対応力をもっと付けて、いつかマネージャーや店長になりたい」

「後輩への的確なコーチング能力を身に着ければ、管理者候補になれると言われた」

などと、「あるべき姿」から「現状の自分」を逆算することができるようになるため、自分のキャリアアップを具体的にイメージすることができるのです。
このように、達成すべき目標や・今求められている立ち位置・役割での正しい振る舞いなども明確になるのが、人事考課制度。従業員満足度の向上にも繋がりますね。

実際の実施例と、振り返り面談などとの連携例

さて、ここからは実際に人事考課制度を取り入れている、あるマツエクサロンの例を紹介します。今回は、関東や中国地方に合計7店舗を展開するサロンのマネージャーにお話を伺いました。

実際に、人事考課制度はどのように行っていますか? 

「うちのサロンでは、「定量分析」と「定性分析」という独自のポイントで、半期に1度スタッフを評価しています。

まず、定量分析とは、

施術人数

 

指名される率

 

売上目標に対する達成度

 

HotpepperBeautyの口コミ率


などのこと。つまり、業績考課のことですね。こちらの評価によって、上半期・下半期の歩合給が決まります

また、定性分析とは

クレーム対応能力

 

サロンの方向性理解

 

スタッフのフォロー

 

協働性


などのことで、能力考課+情意考課という形ですね。人によって持ち点が違いますが、マネージャーや同じサロンで働くスタッフが評価したものを、合算して数値化しています。店長や管理者も同じように査定される仕組みです。

そして、定性分析の評価をもとに、店舗売り上げの〇%が個人の賞与となります。
また、勤務態度も評価ポイントで、勤続給が1年ごとに5,000円ずつ上乗せされて、最大2万円まで受けられるんです。
さらに、定性分析と定量分析の結果も考慮して、マネージャー級以上の会議でスタッフの昇進を決めています」

そして、人事考課制度は振り返り面談と連携しているそうですね? 

「そうなんです。振り返り面談も半期に1度行っていて、そこで人事考課の評価をフィードバックしています。

先ほどお話した、マネージャーやスタッフによる定性分析の結果も、匿名にしてすべて本人へ見せるんですよ。こちらは、各評価者からのコメントも入っています。
それを見て、「ここがまだまだ足りないから、頑張ろう!」と決意を新たにする人もいれば、うれし涙・悔し涙を流す人もいて……。でも、どんな面談の雰囲気になろうと、そのスタッフのターニングポイントになっていることは間違いないですよね。
普段は業務が忙しく、スタッフとゆっくり話す時間がなかなか取れません。そのため、スタッフのモチベーションを上げるだけでなく、直面している悩みに寄り添ってあげられる面談という機会にはとても重要性を感じています」

――人事考課制度の基本的なポイントを踏まえて、独自の観点で評価を行っているサロンの実例を紹介しました。スタッフ だけでなく、管理者以上も同じように評価されるため、それぞれが切磋琢磨できる素晴らしい環境ですね。
また、面談で十分なフィードバックをすることは、スタッフとサロンの両方にプラスとなっているようです。
このように、人事考課制度を取り入れる場合は、効果的な取り組みとなるように体制を整え、内容を都度見直す必要があるでしょう。

まとめ

今回は、従業員の業績・能力・業務への取り組み姿勢などを評価する仕組みの、人事考課制度についてお伝えしてきました。人事考課制度の目的は、賃金管理・昇進・異動配置・能力開発などに活用すること。また、会社の方向性や従業員のあるべき姿を示したり、従業員のモチベーションアップにつなげたりする狙いもあります。
さらに、現実と理想との差が浮き彫りになることで、キャリアアップをイメージしやすくなるという一面も紹介しましたね。実際に人事考課制度を取り入れているサロンでも、素晴らしい効果が得られている様子。スタッフが増えてきたら、人事考課制度の導入、ぜひ検討してはいかがでしょうか?181206Eih

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