「名プレーヤー、名監督にあらず」あなたはどちらの道を選ぶ?マネジメントへのステップアップ時に起きる壁とは

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選手として大活躍した人が、周囲から注目を浴びながら監督になったのはいいものの、結局チームの成績は振るわず辞めてしまう…これはスポーツの世界でよくある事例です。実は、スポーツの世界だけでなく、このケースは他の業界でもありえるもの。マツエク業界でも、同じような事例が挙げられています。売れっ子アイリストとして働いていた人が、経験を積んだ後マネージャーの立場になるのは、珍しいことではありません。これから上を目指そうという人のために、今回は“プレーヤー”と“マネージャー”との違いについて深掘りしていきます。

プレーヤーとマネージャー、何が違うの?

マネージャー職というのは、多くの場合アイリストとしてもしっかりと経験を積んだ人のみが立つことのできるポジション。 そのため、長くアイリストを続けていればマネージャーになれる確率もアップする…というイメージを抱いている人も少なくありません。小規模のサロンでは、採用と同時にいきなり店長…というケースも、少数派ながら存在しています。

しかし、そもそもプレーヤーという立場にあるアイリストと、マネージャーという立場にある店長とは、受け持つ仕事が異なるもの。まずは、プレーヤーとマネージャーでは何が違うのかというところに焦点をあてて、立場の違いを研究していきましょう。

“プレーヤー”は現場の最前線に立つ人材

アイリストを目指す人にとっても、最初に立つ場所となるのが“プレーヤー”のポジション。スポーツに例えれば、コート上に立って直接相手チームと戦う選手たちのことを指します。プレーヤーのポジションにいるときは、対相手との時間が多いもの。アイリストにとっての“相手”とは、お客様と自分のことを指します。「お客様にご満足いただけるサービスや技術を提供できているかどうか」ということと、「目標の売り上げに到達できるか」ということを考えなければいけないポジションです。

現場の最前線に立つ立場の人材なので、 “対お客様”・“対自分の売り上げ”を意識する時間が多め。自分のワザを磨くことに時間を割き、そのスキルを常に発揮し続けることが求められるのが“プレーヤー”の特徴です。

“マネージャー”はお店に関わる全ての人・コトをまとめる指揮官

スポーツの世界で言えば、監督の立場になるのが“マネージャー”の特徴。対お客様を意識する“プレーヤー”に対して、お客様のことプラススタッフやお店のことも考えていかなければいけないのが、マネージャーの仕事です。自分のスキルアップや売り上げを追求していくプレーヤーとは違い、広い視野を持つことが求められるポジションでもあります。お客様にご満足いただけるようなサロンにすることが目標となるため、お客様に対してはもちろん、スタッフたちが心地よく働ける環境作りなども行っていかないといけません。日々の業務を行なうにあたり、意識を外へ外へと向けることが重要になるポジション。そのため、自分のことは二の次三の次になってしまうということも、珍しいことではありません。“プレーヤー”として優秀な成績を収めていても、“マネージャー”に不向きな場合もあるというのは、視点の違いがあるから。店長という立場になれば、自分を伸ばすだけでなく人を伸ばす力も求められるのです。

“プレーヤー”として仕事をするアイリストとは全く違う視点で、サロンとお客様を見守るのが“マネージャー”である店長の仕事と言えます。

“プレイングマネージャー”は一番「気持ちの転換」が難しい立場

一番苦戦する人が多い属性です。多くの業界では、“プレイヤー”と“マネージャー”は、違う視点で日々業務にあたることとなります。同じ場所で働いていても、それぞれの立場で業務内容などが異なるのは当たり前のこと。しかし、マツエクサロンの場合、“プレーヤー”と“マネージャー”を兼務しながら働く、プレイングマネージャーという立場で仕事をしている人が多いでしょう。複数の店舗を束ねるマネージャーなどであればともかく、店長になったからと言っていきなり現場を離れるということはあまり起きない業界であると言えます。

特に高度なテクニックを身につけ、お客様からもスタッフからも信頼を寄せられる売上の高いアイリストは、“プレイングマネージャー”として働くケースも珍しくありません。違う視点で物事を見ないといけない二つの立場を兼務するということは、非常に高い能力が求められるものです。

個人の力より全体の組織力に気持ちを切り替える 

このとき大切なのが「店長なんだから、売上も一位であり続けないと」と焦ってしまうのは禁物という点。

もちろん、率先垂範する、やってみせるという意味では、姿勢についてはみんなの模範になることが理想です。

ただし、自分の個人売上をMAXに上げることより、マネジメントで他のスタッフが伸びるほうが、絶対にサロン全体にとっては集客最大化できる、ということを知らなければいけません。

自分自身が120%の力を発揮することよりも、5人のアイリストが70%→90%の力を出せる組織を作るほうが、圧倒的にサロン全体に与える影響は大きいのです。

マネジメントをするに当たり、現場にも入っているからこそ、他のアイリストの気持ちやお店の状況がよくわかるというメリットもあります。

プレイヤーとしてのプライドに一定の区切りをつけながらも、マネージャーとしても高い能力を発揮できる人こそ、プレイングマネージャーというポジションで活躍できる人材なのです。

プレーヤーのメリット・デメリット

ここからは、プレーヤーというポジションに見られるメリットとデメリットについて、掘り下げていきます。プレーヤーの特徴を深く知ることで、アイリストという職業を客観的に観察していきましょう。

最前線に立ち続けられることがプレーヤーにとって最大のメリット

プレーヤーにとって一番のメリットとも言えるのが、現場の最前線に立ち続けられるということ。プレーヤーの立場にいるということは、常に最新の技術をお客様に提供しなければいけません。新しい技術やエクステの種類などが誕生すれば、お客様に最新技術を提供するため、スキルアップのための時間を設けることができます。

また、スキルアップという視点だけでなく、お客様との出会いが尽きないというのも、プレーヤーとして仕事をする上でのメリット。接客業であるアイリストは、さまざまなお客様と出会えることも、仕事の魅力と言えます。日々の「ありがとう」に触れやすく、お客様からたくさん刺激を受けられるのも、プレーヤーの立場にいる人だけが味わえるメリットと言えます。

体に職業病ともいえる不調が現れるというデメリットも

アイリストは、施術の際同じ体勢でいる時間が多い職業と言えます。そのため、腰痛肩こり眼精疲労など、アイリストの職業病とも言える不調が体に現れることも珍しくありません。正しい姿勢を保ちながら施術を行なうことで、体の不調を軽減することはできます。しかし、プレーヤーとして働く年数が長ければ長いほど、体にかかる負担は大きくなるもの。残念ながら、腰痛や首の痛みがひどくなって、アイリストを退職しないといけないという人がいるのも事実です。

また、お客様の繊細な目元で長時間仕事をする職業なので、集中していなければいけない時間も長くなります体力的にも精神的にもハードなのが、プレーヤーとして働く上でのデメリット。姿勢の保ちかたやセッティングなどで多少カバーすることはできますが、体への負担は、プレーヤーとして目をそらすことができないデメリットです。

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マネージャーのメリット・デメリット

広い視野を持って店舗全体を見渡すこととなる、マネージャー職。マネージャー職ならではのメリットやデメリットとは、どのようなものなのでしょうか。

人の成長に喜びを感じられるのがマネージャー職のメリット

店舗を順調に運営していくためには、スタッフのスキルアップにも力を注がなければいけません。マネージャーとして仕事をするということは、店舗の売り上げだけでなく、各スタッフの売り上げにも目を配るということ。各スタッフの売り上げを伸ばすためには、売り上げを伸ばせるように指導を行なっていかないといけないのです。

しかし、その“指導”にこそマネージャーとして仕事をする上での、メリットが隠されています。自分のスキルアップだけ考えていたプレーヤー時代とは違い、マネージャーになると人が成長していく姿をすぐそばで見守ることになるもの。マネージャーである自分ができることでも、スタッフたちの中にはできない人もいます。

名プレーヤーだった人こそ、壁に当たりやすいタイミングです。

これまで優秀であったがゆえに、「自分は当たり前にできていたことなのに、なぜできないんだろう」「やる気が無いのかも」と、人の資質と自分の資質を比較してしまうことが一番いけないことだといえるでしょう。

それぞれ、成長速度は異なるもの。そして、価値観も、10人いれば、10人とも異なるのは当たりまえのことなのです。比較するのではなく、個別のスキルアップや、伝え方をしっかりと向き合って考えられるか?それが、「プレーヤーが名監督になれるかどうかの転換期」

スタッフを伸ばしてあげられるかは、マネージャーの腕次第。

どんどんスキルアップしていくスタッフたちをそばで見守りながら、ともに喜びを感じられるのは、マネージャー職ならではのメリットだと言えます。

自分のかじ取り次第でサロンの明暗がわかれるという責任の重さをデメリットに感じる人も

マネージャーは、サロンの代表とも言えるポジション。経営者の想いとは別に、サロンがどんな方向を向いて進んでいくのかは、マネージャーのかじ取り次第とも言えるのです。現場の最前線に立って日々お客様へ施術をしているのは、プレーヤーであるアイリストたち。しかし、そのスタッフたちにどのような接客・施術をするのかというガイドラインを与えるのは、他でもないマネージャーの仕事なのです。

そのため、プレーヤーからマネージャーになった人は、考え方をうまく切り替えられるかどうかがひとつのターニングポイントに。人のために、人のことを喜べるかどうかが、マネージャー職として大切なポイントとなるのです。もし、この“人のために”という考え方を持つことができないのであれば、マネージャーとしての業務は負担以外の何物でもありません。

サロンが経営者の思い描く方向へ進んでいかなければ、スタッフたちを路頭に迷わせることになってしまいます。同時に、現場の意見が経営者に伝わらなければ、ほんとうの意味での良いサロンにはならないということもあるでしょう。

運営・管理・育成と、とても広い視野を持って業務に携わらなければいけないのがマネージャーという仕事。すぐ目に見える結果が出る業務ではないため、すぐに結果を求める人にはつらくしんどい業務だと感じられることも珍しくありません。

自分の成長だけでなく、人の成長を見守っていかないといけないため、良い方向へ進んでいくまでの過程はとても大変です。しかし、マネージャーとしてのしんどいところを乗り越えれば、とてもやりがいを感じられる仕事とも言えます。

まとめ

プレーヤーの延長線上に、マネージャーというポジションがあると考えている人も多いもの。しかし実際は、全く違う視点で物事をしなければいけないのが現実です。だからこそ、プレーヤーがマネジメントをするようになるタイミングではトラブルが起こりがちになります。経営者の意図を現場におろし、人を育て、売上を上げるという「組織づくり」が一番の壁になるでしょう。

アイリストとして長く活躍していこうと考える人も、いずれマネージャーを目指したいと考える人も、それぞれのポジションの特徴を深く理解しておくことが重要。自分はどちらのポジションに合う要素を持っているのかを把握して、それぞれの役割によって果たすべきこと、またそのやりがいをイメージしておけるといいですね。190133Eue

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