「ソーシャルスタイル」のセオリーを使ってお客様に接客をするコツとは?

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アイリストとしてはもちろん、社会人として円滑にコミュ二 ケーションを取っていく上で、知っておくと便利なのが「ソーシャルスタイル」。Beautéでも以前に取り上げたテーマですが、今回はより実践に近い内容で、さらにソーシャルスタイルについて深掘りしてみたいと思います。日々の接客に生かせるよう、ソーシャルスタイルの内容をしっかりと自分の中に落とし込んでおきましょう。

「ソーシャルスタイル」とは

まずは、ソーシャルスタイルとは何かということを、軽くおさらいしておきましょう。

ソーシャルスタイル”とは、アメリカの心理学者“デビッド・メリル氏”が提唱した、コミュニケーション理論。ソーシャルスタイル理論やソーシャルタイプと呼ばれることもあり、世界中で取り入れられているコミュニケーション理論です。

人の性格を4つのグループに分けて分析

ソーシャルスタイルは、人が持つ性格を4つにグループ分けして分析するという特徴があります。簡単な診断テストを実施することで、自分や相手がどのタイプなのかを知ることが可能。コミュニケーション能力に自信がない人でも、簡単にスキルアップすることができるのです。

コミュニケーションを円滑に行う上で、相手のことはもちろんのこと、自分にはどのような特性があるのかも知っておくことが大切。ソーシャルスタイルについて学んでおけば、自分の特性を知れるだけでなく、得意なタイプや苦手なタイプも知ることができます。見ず知らずの人とも、コミュニケーションを取っていかないといけない機会の多い社会人には、欠かせないコミュニケーション理論と言えるのです。

人材の育成や顧客対応に活用する企業も多い

ソーシャルスタイルを知ることで、人との関わり方を大きく変えることができます。仕事を行なう上で、どんな人とでもコミュニケーションを取れるということは、ひとつの強みになるもの。そのため、“ソーシャルスタイル研修”という形で社員に落とし込みを行なっている企業も多いのです。

ソーシャルスタイルを知れば、相手の特徴をつかむことができるようになるので、目の前にいる相手によって効果的な対応方法を使い分けることができるようになります。今まで一辺倒だった対応方法が多様化し、どんな人と顔を合わせても苦手意識を抱くことがなくなるのです。

企業によっては、ソーシャルスタイルを活用してクレーム対応を行なったり、販売効果アップの実績を上げているところも。直接お客様と接する機会の多いアイリストにとっても、役立つ機会の多いコミュニケーション理論と言えます。

タイプ同士の相性とは?

ここからは、実際にソーシャルスタイルの相性についてピックアップ。まずは、以前にもご紹介したソーシャルスタイルのタイプを、一つずつチェックしていきましょう。

↓まずはこちらの記事をチェック!

タイプごとの特徴を落とし込んでおくことが重要

ソーシャルスタイルでは、人の性格を4つにグループ分けをして分析を行なっていきます。自分のタイプを知っているだけでは、実際のコミュニケーションに生かすことができません。4つのタイプそれぞれの特徴を知って落とし込みができてこそ、実際に接客する場面で活用できるのです。

各タイプの特徴と相性の良いタイプとは

ソーシャルスタイルでは、人の性格を4つのグループに分類。自分が属するグループがあるのと同じく、お客様にもそれぞれ属するグループがあります。アイリストとして重要な“お客様一人一人に寄り添った接客”を行なうためにも、ソーシャルスタイルの特徴を頭に入れておきましょう。

“ドライビング”タイプの人は?

ドライビングのグループに属するのは、人から指図されることを嫌う上昇志向タイプの人。指示されるよりも指示する立場にいることを好むため、デザインの提案方法などにも注意が必要です。

相性がいい:ドライビング・エクスプレッシブ

相性が良いのは、同じ「ドライビングタイプ」の人。ムダを省いてサクサク動きたいという思考の持ち主同士なので、お互いに足りないところを補い合いながら行動することができます。ドライビングと同じ思考表現度の「エクスプレッシブ」は相性がよく、感情表現度が低い「アナリティカル」もそこそこの相性と言えます。

相性が悪い:エミアブル

注意しないといけないのが、対局にいる「エミアブルタイプ」の人への対応。とにかく無駄なく動きたいタイプのドライビングは、その場にいる人達の和を大切にしたいエミアブルの行動に“なぜ?”と感じる機会が多いもの。ドライビングは上に立ちたいタイプなので、すかさずエミアブルの上に立とうとあれこれ指示をしてしまいます。

ドライビングタイプの人は、相手がエミアブルタイプだとわかれば、普段よりも笑顔を増やしてその場の雰囲気が明るくなるよう意識しましょう。

“エクスプレッシブ”タイプの人は?

エクスプレッシブのグループに属するのは、元気がよくてその場をパッと明るくするようなムードメーカータイプの人。楽しいことが大好きで、初めて会った人とも時間を要することなく打ち解けることができます。

相性がいい:エクスプレッシブ・ドライビング

相性が良いのは、同じ「エクスプレッシブタイプ」の人。楽しい雰囲気が好きなもの同士なので、言葉を交わせば楽しく盛り上がることができるでしょう。エクスプレッシブと同じく思考表現度が高い「ドライビング」は相性がよく、感情表現度が高い「エミアブル」ともうまく付き合うことができます。

相性が悪い:アナリティカル

注意しないといけないのが、対局にいる「アナリティカルタイプ」の人への対応。感情を表に出すことが得意なエクスプレッシブに対して、アナリティカルは感情を出さず何を考えているかわからないという特徴があります。自分の中で答えを出すまでに時間がかかるタイプなので、急かさずにしっかりと待ってあげる時間が必要です。

“エミアブル”タイプの人は?

エミアブルのグループに属するのは、自分の意見があってもなかなか主張できないタイプの人。自分の考えがあっても人の意見を優先してしまうので、こちらから一方的にデザインの提案などをしてしまうと、全て受け入れてしまいます。

相性がいい:エミアブル・アナリティカル

相性がいいのは、同じ「エミアブル」タイプの人。エミアブルの人は“癒し系”という印象で見られることも多いため、同じタイプ同士なら和やかで落ち着いた時間を過ごすことができます。エミアブルと同じく思考表現度が低い「アナリティカル」、感情表現度が高い「エクスプレッシブ」とも相性が良いと言えるでしょう。

相性が悪い:ドライビング

注意しないといけないのが、対局にいる「ドライビングタイプ」の人への対応。人との和を大切にするエミアブルにとって、淡々と物事を進めていくドライビングは苦手なタイプです。ドライビングタイプの人は、ねぎらいの言葉をかけたり相手を褒めたりすることが不得意。その特徴を理解すれば、相手の態度を冷たいと感じる機会も減るでしょう。

“アナリティカル”タイプの人は?

アナリティカルのグループに属するのは、感情を表に出さずコツコツと物事に向きあうタイプの人。自己主張をほとんどしないので、一見こちらが提案したことがお客様に喜ばれているのかどうかわかりにくいという特徴があります。

相性がいい:アナリティカル・エミアブル

相性がいいのは、同じ「アナリティカルタイプ」の人。コミュニケーションの言動が少ないもの同士なので、お互いに気を使い合うことなく過ごすことができます。アナリティカルと同じく思考表現度が低い「エミアブル」、感情表現度が低い「ドライバー」ともそれほどストレスを感じることなく付き合えるでしょう。

相性が悪い:エクスプレッシブ

注意しないといけないのが、対局にいる「エクスプレッシブタイプ」の人への対応。しっかりと感情を表現してくるうえに意見もはっきりと出してくるので、自己発信しないエクスプレッシブにとってはストレスを感じる存在と言えます。大まかに早く仕事を進めようとするのが、エクスプレッシブのいいところ。“これは絶対伝えたい!”ということを3つくらいにまとめ、要点を絞って相手に伝えるとお互いの足りないところを補い合うことができるでしょう。

実際の接客例

ソーシャルスタイルを実際の接客に生かすためには、まず先にお伝えした各タイプの特徴をしっかりと落とし込んでおくことが大切です。自分が苦手だと感じるタイプのお客様を目の前にしたとき、人間は本能的に“苦手だな”と感じてしまうもの。そこをカバーできるかどうかは、普段からしっかりとソーシャルスタイルを意識して接客できているかがポイントとなります。

接客例①カウンセリング時にお客様のタイプを分析

エクスプレッシブタイプのアイリストが、実際に体験した接客例をご紹介します。

「初めて担当するお客様をお出迎えし、カウンセリングルームへご案内したときのこと。いつも通り接客していたのですが、お客様のほうからなかなか笑顔のレスポンスがなく、少し不安に感じていました。内心“苦手なタイプかも”と思いながらも、お客様をよく観察。お客様のお話を聞いてなんとなく早口に感じたことと、自分の意見をしっかりとおっしゃることからドライビングタイプのお客様だと判断しました。エクスプレッシブタイプの私にとって、 ドライビングタイプのお客様には、「かわいい後輩」だと思ってもらうことがポイントなので、笑顔でお客様の意見を立てるようにして対応。普段よりも笑顔を増やして接客したこともあり、お帰りになる頃にはステキな笑顔を見せていただきました。」

この接客例は、アイリスト自身が自分のソーシャルスタイルを知っていたことが大きなポイントに。また、カウンセリングの短い時間内にお客様のタイプまで分析できたことが、ターニングポイントとなりました。

普段からソーシャルスタイルを意識しておくことで、苦手なタイプをなくすことができるということを、実証した接客例でもあります。

接客例②話すテンポを落として相手にしっかり伝える

ドライビングタイプのアイリストが、実際に体験した接客例をご紹介します。

「ドライビングタイプに属する私は、アイリストという職業柄、仕事中は自分の気質を抑えるように意識していました。それでも話すテンポは人より少し早いようで、お客様の中には“え?”と私の話を聞き返される方も。リピートして指名してくださるお客様の中に、初めて接客した際、不安そうな顔をしている人がいました。最初は“なにか気になるのかな?”と思っていただけなのですが、ネットで見つけた“ソーシャルスタイル”を知ったことがヒントに。おっとりしたタイプのお客様だったので、私の中でそのお客様をエミアブルに分類。喋るテンポを普段よりもさらに落としてゆっくり話すようになったことで、お客様の不安そうな表情は消えました。」

こちらは全力で接客しているつもりでも、相手のソーシャルスタイルの特徴にはまらない場合があります。ソーシャルスタイルを知っておくと、ご来店からお帰りいただくまで、お客様を不安な気持ちにさせることなく対応することができるのです。

まとめ

たかがソーシャルスタイルとあなどっていると、接客レベル向上の機会を逃してしまうことも。まずは自己分析をしっかりと行なってから、各グループの特徴を知ると、普段の接客に生かしやすくなります。今よりもアイリストとしてひとつレベルアップするために、ソーシャルスタイルについて学んでみませんか?190222Eue

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