[連載] ラッシュリフトを科学する 02[ウェーブ効率]LASHLIFT Innovation Lab
第2回テーマ 「ウェーブ効率 ― ロジックで放置時間を決める」
三倉さん
これまでの話を整理する中で、業界に不足している視点があると感じています。
それは「ウェーブ効率」です。
Beaute記者
ウェーブ効率…? ヘアパーマの世界でよく出てくる「カール形成度」や「パーマ効率」みたいな考え方ですよね?パーマをかけた後に、どれだけロッドの形を再現できるかを数値やイメージで示すもの。
つまり、「どれくらいしっかりカールができているか」を表す指標のことですよね。
三倉さん
はい、そのウェーブ効率です。清水さんは、ラッシュリフトでもこの考え方を意識されて施術されていますよね?
清水さん
はい、もちろんウェーブ効率は意識しますし、ラッシュリフトの仕上がりには非常に重要です。
三倉さん
ヘアの世界では、ウェーブ効率は当たり前の考え方のようですが、アイ業界だと全く話題になっていない印象です。
私は、この「ウェーブ効率」に関する考え方自体が、業界に欠如していると思うのですよ。
Beaute記者
そうですね。確かに、アイ業界でウェーブ効率の話は聞きませんよね。
清水さん
ラッシュリフトにおいても、ウェーブ効率はとても重要です。
ロッドの形をどの程度まで再現させるかで、仕上がりの印象がまったく変わります。私は、理想とする仕上がりのイメージをもとに、「ロッドの形」と「どこまでその形に近づけるか(=ウェーブ効率)」を意識しながら施術を行っています。
三倉さん
そうですよね。業界的には、時間を基準に議論している印象ですが、「仕上がり=ウェーブ効率」で議論するとすっきりします。
ウェーブ効率を得るのに必要な放置時間を設定すべきですよね。

Beaute記者
なるほど!! 確かにそうですよね!!
最終的な仕上がり(ウェーブ効率)を数値化することで、必要な放置時間も定義できます。
三倉さん
気づきましたか(笑)アウトプットから考えると、放置時間ではないです。ラッシュリフトの目的って、カールを付けることであって、放置することじゃないですもんね(笑)
清水さん、普段、どのくらいのウェーブ効率を狙っていますか?
清水さん
ラッシュリフトのウェーブ効率って、90%位です。
私の場合は、だいたい70%〜90%の間で、目の形状やまつ毛の生え方、ロッド、そしてパーマのスタイルに合わせて調整しています。
ウェーブ効率って、ひとつの指標だと思います。
ウェーブ効率が低いと、十分に切断されていないので、パーマも浅く、すぐに取れてしまいます。対して、ウェーブ効率が高いと、しっかりと結合が切断され、カールの形成が安定し、持続力も高くなります。

三倉さん
ということで、ウェーブ効率を起点にすることで、理想的な放置時間が定義できますよね。狙いのウェーブ効率(70〜90%)を実現する放置時間が理想です。これで、放置時間論争に一石を投じましたね。
私は、この考え方が業界からごっそり抜け落ちていると思います。
Beaute記者
そんな考え方、アイ業界にはないですよね。
清水さん
実は、このあたり、ラッシュリフトが上手い方は、自然とウェーブ効率が高く再現されている印象です。上手な方は、毛質を見極めて、適切な放置時間を設定していると感じます。
三倉さん
ウェーブ効率に関連して気になることがあります。ラッシュリフトの仕上がりを考えたら、ロッド選定も重要になりませんか?
清水さん
そうですね。ロッド選定はとても重要です。私も昔は、お客様のタイプに合わせて、様々なロッドを何十種類も使い分けました。
ですが、現在は10種類程度で回しています。
三倉さん
えっ、何で10種類程度に絞ることができたのですか?
清水さん
お客様の目の形やまつ毛の生え方って、本当に一人ひとり違いますよね。お客様に合わせて、完全にフィットするロッドを用意するのは不可能でした。ロッドだけで全ての仕上がりをコントロールしようとすると、どうしても限界が出てきます。
三倉さん
なるほど。ロッドの種類だけでは完全にカバーできないということですね。
清水さん
はい。そこで次のステップとして重要になってくるのが、先ほどお話ししたウェーブ効率です。
同じロッドを使っていても、どこまでウェーブ効率を高めるのか、どのラインまでロッド形状を再現させるのか、このコントロールによって、仕上がりの再現性は大きく変わります。ロッド形状をベースにしてウェーブ効率を設計すると、どんなタイプのお客様にも合わせることが可能です。
三倉さん
おぉ!!なるほど!!
「ロッド選定」と「ウェーブ効率」の両方を考えることで、初めて「仕上がりの設計」が完成するということですね。
三倉さん
清水さん、毛質によって放置時間が変わると思いますが、いつもどのくらいで設定されていますか?
清水さん

放置時間は、毛質や薬剤によってバラバラなので、表現が難しいですね。ただ、メーカーさんの標準時間だと、ぜんぜん上がらないケースはあります。
私の場合、上がりにくいまつ毛だと20分くらい放置するケースもありますよ。
三倉さん
20分放置とかすごいですね!!
つまり、毛質によってはそれだけ放置しないとウェーブ効率が形成されないということですね。やはり、放置時間だけに頼らず、ウェーブ効率を基準に整理する必要がある、と改めて感じました。
清水さん
大変ではありますが、本当に上手なアイデザイナーさんは、このあたりまで意識していると思います。
Beaute記者
なんか、アイ業界としてごっそり抜け落ちている“ロジック”について整理されていて、お二人ともすごいですね。この流れで業界が良くなることを、どんどん発信していただきたいです。
清水さん
私も、この業界が長く、ラッシュリフト歴18年になります。
その間、ひたすら研究してきたので、その知識や経験をアイ業界に貢献できると嬉しいです。
三倉さん
私は、ご縁あって、このコラムに参加させていただきました。その流れで、私の整理がアイ業界のお役にたてれば幸いです。
Beaute記者
お二人とも、ありがとうございます。
そういえば清水さん、面白い実験もされていますよね。たしか、まつ毛をコップに浮かべる試験。あれも、次のコラムで紹介してみませんか?
清水さん
浸水性、疎水性の試験ですね。
はい、そちらも次回のテーマにしていきましょう。
― 続く ―
必要知識
ウェーブ効率
この図は「ウェーブ効率」を示しています。ウェーブ効率とは、ロッドのカーブに対してどれだけ再現できたかを数値化したものです。
まつ毛の場合、90%の再現率が最大です。(清水さんの研究結果)。
90%の再現率
イメージすると、まつ毛は“ゴム”のような性質を持っていて、完全にロッドの形に沿おうとしても少し元に戻ろうとします。そのため、100%は再現できず、最大値で90%になります。この数値から、ロッドの形状や、デザイン、目の形状に合わせて、狙いのウェーブ効率を設計していきます。
放置時間とウェーブ効率
この図は「放置時間とウェーブ効率の考え方」を示しています。現在のアイ業界では、「何分置くか」という放置時間の感覚やマニュアルが先行しています。しかし本来は、時間から逆算するのではなく、目標とするウェーブ効率(カールの再現率)から放置時間を導くことが理想です。
さらに重要なのは、毛質によって放置時間が大きく変わるという点です。細い毛・硬い毛・新生毛など、毛の状態によって薬剤の浸透スピードや結合の切断度合いが異なります。そのため、一律の時間基準ではなく、ウェーブ効率を基準にした考え方が必要になります。