今後の施術者のためになることを|日本まつげエクステ協会代表理事 福永亜希子氏インタビュー

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今回インタビューさせていただいたのは、一般社団法人日本まつげエクステ協会の代表理事を務める福永亜希子さん。ご自身のサロン運営はもちろん、協会業務やコンテスト運営を中心に、アイラッシュ業界で長く活躍されています。異業種からアイラッシュ業界に飛び込んだ経緯やさまざまな活動をするようになったきっかけ、協会が力を入れていることなど、詳しく教えていただきました。

【経営者プロフィール】福永 亜希子さんとは?

一流ホテルマンとして接客プロの経験とスポーツインストラクターとしての人に伝えるという指導、教育の経験を活かし、2007年より美容、まつげエクステ業界へ。一般社団法人NEA日本まつげエクステ協会の設立メンバーとして2009年より協会活動に積極的に加わり、まつげエクステ業界の健全な発展、技術者への安全な技術、知識の普及に邁進する。

【経歴】

2007 年 日本アイメイクアカデミーにてまつげエクステ技術取得

2008 年 自宅一室にてプライベートサロンをスタート

2009 年 一般社団法人日本まつげエクステ協会 理事就任

2010 年 NEEC 日本まつげエクステコンテスト 2010 クオリティー賞受賞

2011 年 一般社団法人 NEA 日本まつげエクステ協会セミナー京都 実演デモ講師

2015 年 NEEC 日本まつげエクステコンテスト実行委員

2016 年 マンションにてまつげエクステ&ネイルサロン afata スタート

2016 年~2021 年 NEEC 日本まつげエクステコンテスト実行委員長 就任

2017 年・2018 年 World Beauty Festival2017、同 2018 世界大会(韓国)特別審査員

2019 年 一般社団法人日本まつげエクステ協会 代表理事就任

同年 路面店サロン Aphrodita 開業

2020 年 「日本人が選んだ、世界に伝えたいアイリスト20選」掲載

2020 年・2021 年 STYLING COLLECTION アイラッシュ部門 審査員

マツエクとの出会いと現在の活動について

経歴を見ると異業種からの転職という感じがするのですが、マツエクと出会ったきっかけを教えてください。

経歴だけ見るとそう思われるかもしれませんが、子どもの頃に母が美容院を経営しており、自宅が美容院だったため、美容の仕事は身近にありました。父の転勤を機に引っ越すことになったのですが、母が美容師から会社員に転職したんです。その後、定年まで勤めあげたあと「またサロンを経営したい」と母が言い始めたんです。

母の言葉に反対しつつ、色々調べていくうちに、マツエク専門校である日本アイメイクアカデミーを通してマツエクに出会い、なぜか母ではなく興味を惹かれた私が学校に通うことに。もともと細かい作業が好きだったこともあり、マツエクの技術を習得するのが、とにかく楽しくてたまりませんでした

当時は、子どもも小学生で、家族の世話もあり、主人の経営する飲食店の経理の仕事もありと、自分に割く時間がほとんどない中で、今思うと何かが物足りない、自分が集中できることを見つけたかったのだと思います。それが、これまでの自分の生活にはなかったマツエクの技術を学ぶことに対し、楽しい!と思えた理由なんじゃないかな、と思います。

とはいえ、はじめは「サロン経営で生計を立てていくぞ!」ということは全く思ってはいませんでした。

現在の協会のお仕事など、様々な活動をされるようになったのは、どんなことがきっかけだったのでしょう。

今こうして協会理事や大会運営などをしている自分を、サロンをオープンさせた当初の私が見たらびっくりしていると思いますね。

たくさんの活動をさせていただいていますが、「私がやろう!」と決断して駒を進めてきたという感じではなく、周りの人の影響や与えられた責務をこなすうち、気が付いたら”ここ”にいたという感じ。ただ、そのときそのときやるべきことには、ひとつずつ真摯に取り組んできたと自信を持って言えます。

大きな転機となったのは2010年に開催されたNEECの第一回コンテストに参加したこと。イベントを盛り上げるためと、軽い気持ちで参加したのですが、ありがたいことにクオリティー賞を頂き、技術を評価してもらうことができました。会場に来ていた審査員やほかのアイラッシュ施術者の方々から「すごくきれいだった」「装着が丁寧」と、お褒めの言葉をもらえたことが、自分の自信になったんです。

NEEC日本まつげエクステコンテスト実行委員長として今もコンテストに携わっているのは、自分にきっかけを与えてくれた『コンテスト』という機会を、今後多くのアイラッシュ施術者にも与えてあげたいという気持ちがあるから。

私だけでなく、コンテスト運営に携わっている9人も同様なんです。皆さん多忙な方ばかりなのですが、そんな中各自が時間を捻出し、【参加者の喜ぶ姿が見たい】そのモチベーションだけでやっています。

日本まつげエクステ協会(NEA)でのお仕事内容について教えてください

日本まつげエクステ協会には、「協会を設立するので協力してくれないか」とお誘いを受け、設立メンバーとして当初から活動しています。日本まつげエクステ協会としては、今後のアイラッシュ施術者のためになることをしたいと考えています。まずは、アイラッシュ施術者という職業の認知度を上げることが大きな目標。

女性の美容師は結婚・子育てでキャリアを一時中断すると、また美容師に戻りたいと考えたとき、今のトレンドや技術に追いつく必要があるんです。そういった点から美容師に戻るハードルが高いのでは、と感じています。数年間しか活用できないのでは、せっかく取得した国家資格がもったいない。美容師免許を有効活用する方法のひとつに、アイラッシュ施術者という選択肢があることを広げたいんです。

また、今はアイラッシュ施術者を目指す人も、美容師免許が必要です。現状この法律を変えるのは難しいと思いますが、まずはベースとなるカリキュラムを整えておかなくては、話が進みません。そこを踏まえて、この度一般社団法人日本アイリスト協会(JEA)一般社団法人日本まつ毛エクステンション認定機構(JECA)・そして日本まつげエクステ協会(NEA)の3団体で、団体の垣根を超えて日本基準教育と検定「Eyelash Extension Japanese Basic」という教育システムを立ち上げました。これが、今後日本のアイラッシュ技術のベースの判断基準となると良いなと思っています。

福永さんが考えるアイラッシュ業界、そして美容業界の未来とは?

日本のアイラッシュ施術者の繊細さは、世界に向けても通用する強い武器になると思います。それをもっともっと発信していきたいというのが、私の想い。”日本人施術者=レベルが高い”という認識が広がってほしいと思っています。

発信の方法のひとつであるコンテストでは、海外の施術者も受け入れることで、海外の視線を集めるようにしています。将来的には、世界で活躍できる日本人講師をたくさん育てていけるのが理想的。私ひとりの力では難しいかもしれませんが、周りの人の力を借りながら、日本のアイラッシュ業界を世界に広げていけたらと考えています。

【経営哲学】福永氏の経営理念とは?

アイラッシュ施術者として大切にしているのは、人と人とのつながり。もともと開業します!という感じでスタートしたわけではないため、路面店サロンの開業までは、広告したことがありませんでした。サロンに来てくれるきっかけは口コミが基本だったため、私のお客様は皆さんつながっているんです。人と人とのつながりで、ここまでこれたと思っています。

せっかく月に1回大事な時間をサロンに割いてもらうのだから、施術して喜んでもらうのはもちろん、お客様にとってプラスのことを提案してあげたいと思っています。そのためには、お客様の好みやライフスタイルまで、どれだけ理解できるかが重要だと思っています。

それが叶えられるのは、たくさんのお客様を受け入れられる大きなサロンではなく、個人単位のマンツーマンサロンではないかと、今強く感じるようになりました。壁で隔てられていても、横に他のベッドがあると、なんとなくプライベートなことは話しにくい人もいるはず。お客様と施術者が1対1で向き合えるプライベートサロンだからこそ、安心感を与えたり密な信頼感を構築したりすることができると考えています。

また、マツエクの技術を習得する楽しさとは別の側面で、お客様の女性としての美しさやライフスタイルの変化を感じられる楽しさを知ることができたことも、アイラッシュ施術者として頑張りつづけられる理由のひとつ。これからもマツエクを通して、人と深くつながっていけたらと思っています。

まとめ

優しい関西弁で紡がれる福永さんの言葉は、気負いが感じられず自然体。いつの間にかここにいたと表現されていましたが、「笑顔になれる仕事をさせていただけている」という感謝の気持ちが根底にあり、ひとつひとつ真摯に取り組んできたことに、活躍されている理由を垣間見ることができました。子どもが社会人になり、子育てに一区切りついたという福永さん。今後さらに活躍の幅を広げられるのではないかと、今からワクワクしています。211016Ess

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