変わらない確かなものを伝え続ける!日本アイリスト協会代表理事 志太しおん氏インタビュー

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今回お話をお伺いするのは、一般社団法人日本アイリスト協会代表理事を務める志太しおん氏。アイラッシュサロンやスクールなどさまざまな事業を展開する経営者でありながら、2013年から長きにわたって日本アイリスト団体を率いられております。代表としての思いや、なかなか知ることのできない協会内での活動や目的などについても詳しく教えていただきました。

【経営者プロフィール】志太 しおんさんとは?

一般社団法人日本アイリスト協会(JEA)の代表理事 兼 名誉認定講師

日本アイリスト協会活動の一環で「安全・安心な技術提供」の普及活動として、全国各地にて検定、セミナーやフォーラム等に携わる。日本アイリスト協会代表理事就任後は、まつげエクステンション業界の発展と業界団体としての繋がりなどに尽力。
自身は「株式会社 ビューティーアカデミー」代表取締役としてアイラッシュサロンとヘアサロン、訪問美容事業、シェアサロン事業を運営。個人、サロン単位等さまざまなシーンで技術者を育成。また中学校や美容学校からの講演依頼などもあり、美容系の職業希望者に対してまつげエクステンション技術のオリエンテーションもこなす。

JEAJECA(注1)NEA(注2)の3団体で、まつ毛エクステンション技能の日本基準教育と検定「Eyelash Extension Japanese Basic」を立ち上げ2021年秋スタート。

【略歴】
2007年 アイラッシュサロン「アイデザイン」オープン
2009年 サロン&スクール「アイデザイン」設立

            長野県唯一のJEA認定サロン及び認定校登録
2013年 日本アイリスト協会 代表理事就任、株式会社 ビューティーアカデミー設立
2015年 まつ毛エクステコンテストJEEC審査員
2016年 まつ毛エクステコンテストNEEC(注3)特別審査員(現任)
        ガラド・ラ・コアフューム(注4)まつ毛エクステ審査員(現任)
2018年 日本アイリスト協会名誉本部認定講師 就任
            長野・松本理容美容専門学校 まつエク講師就任(現任)
2019年 SPCスタイリングコレクション(注5)まつ毛エクステ審査員
2019年 日本人が選んだ「世界に伝えたいアイリスト20選」に選出
            東京ベイカレッジまつ毛エクステ非常勤講師(現任)


(注1)一般社団法人日本まつ毛エクステンション認定機構
(注2)日本まつげエクステ協会
(注3)日本まつげエクステコンテスト
(注4)東京美容組合コンテスト
(注5)SPC STYLING COLLECTION

現在の事業内容

志太しおん氏インタビュー

ご自身が経営されているサロンやスクールなどについて事業内容をお聞かせください。

現在は、アイラッシュサロンとスクール訪問美容シェアサロンの3本柱で事業を展開しています。

まずメインのアイラッシュサロン。アイラッシュでは出来ないメニューはないと思うほど様々な技術や人工毛の種類もご用意してお客様のニーズに応えています。トレンドのアイブロウなども、いち早くメニュー化しております。併設のヘアサロンもあり、増毛エクステや育毛スカルプケアなども行っています。そして、スクール事業。スクールは個人で来られる方のほか、お店として来られる場合も多く、ビルの2階にベッド5台設置のスクールスペースは毎日フル稼働しております。今多いのが、美容ディーラーさんからの紹介で、スタジオ講習や臨店講習も。

そして、訪問美容。こちらは老人ホームや介護施設に美容師さんたちを派遣し、利用者さんのヘアカットをする事業。育児で一旦リタイアし、ヘアの現場に戻れない美容師などが活躍できる場所を作っています。

最後に、シェアサロンについて。アイラッシュも関わってくるのですが、美容院でスペース的に余裕があり「まつげメニューも入れたい、でもうちのスタッフでは難しいかも」というオーナーさんに、ある程度力の付いた「アイデザインエクステスクール」の生徒さんを紹介し、働いてもらうという間を取り持つ事業です。

現在も私自身、アイラッシュ施術に携わっています。他事業や協会の活動もあるので、どうしても施術量は少なくなってしまうのですが、ゼロにしていないのは技術力を落とさない為やお客様とのお話や情報を得たり、発信したりする場として大切な場だから。現場を離れちゃいけないとどこか思っています。

日本アイリスト協会の代表理事の活動について

日本アイリスト協会の代表理事の活動について、お聞かせください。

まず、お伝えしたいのが日本アイリスト協会は、認定講師の先生たちのお力で成り立っているといっても過言ではないということ。認定講師とは、認定講師試験に合格し研修期間を経て、活動をされている先生方です。協会の会員さんのため、アイラッシュ業界のため、企画・発信・実践のすべてやっているのが認定講師なんですね。
具体的には、認定講師で構成される講師会を年に2回開催し、活動報告や今後の企画などについて話し合います。

認定講師の先生は、普段どのような活動をされているのですか?

いろいろな先生がおられますが、ほとんどの方が現役で施術を行いながら、認定講師の活動をされています。表に立って話すのが得意な先生、検定試験を作る地道な作業が得意な先生、新しい技術を伝えるのが得意な先生など、それぞれの得意なこと・好きなことを認定講師という肩書を使ってさまざまな場所で活動されています。
縁あって日本アイリスト協会の講師になってくださった先生全員に活躍して欲しいと思っています。

志太さんは数多くのコンテストの審査員を務められていますが、審査員の仕事についての思いがあれば教えてください。

代表は裏方で良いと思っていて、可能な限り認定講師にお願いしたいと思っております。その代わり認定講師の先生たちが出ていく場で「日本アイリスト協会ってなに?」と感じられないよう、日本アイリスト協会の周知の為と横のつながりを強固にし、絶やさないようにすること。それが私の役目だと思っています。年々作品のクオリティーも技術力も素晴らしく、まつげエクステ業界を担っていく新たな才能に感動させられます。コンテストに出場する勇気も、又、開催くださる組織も本当に感謝に尽きます。弊会でも、接客、衛生管理、カウンセリング、技術などの素晴らしさを頂点を極めたアイラッシュサロングランプリを主催しております。ぜひ多くのサロン様にエントリー頂けたらと願っております。

横のつながりとは、具体的にどのようなことでしょうか?

まずは、メーカーや賛助会員さん。その他、美容組合や全美連(注6)、JABS(注7)などの業界団体などとの関係構築を図っています。ヘアメインの団体も多いですが、まつげエクステは美容師免許ありきの仕事なので、美容師からアイラッシュへ移行するということももちろんありますよね。だから、切り離すよりもつながりを持ち、アイラッシュ教育が必要になったときに日本アイリスト協会を選んでいただけたらと思っているんです。

(注6)全日本美容業生活衛生同業組合連合会
(注7)一般社団法人 日本美容サロン協議会

日本アイリスト協会が実施している検定について教えてください。

協会団体のライセンスを取らなくても、美容師免許さえあれば、まつげエクステの施術は出来ます。なので、あえてライセンスを取らないことを選ぶ人もいるかもしれません。
車の運転免許に例えると、かっこいいドライブテクニックではなく、安全な技術や知識を身に付けてはじめて免許証が交付されますよね。それと一緒で、私たち日本アイリスト協会の検定も基本の技術・知識と「何が安全?何が大事?」ということをしっかり教えていきたいと思っているんです。

私自身まつげエクステを習い実際に施術をしはじめてから、ふと理論をわかってないことに不安を感じたんです。そこでもう一度しっかりと理論を学んだ経緯があります。私と同じように、不安にかられ「アイラッシュのきちんとした資格を取っておこうかな」と思い立って検定を受けに来られる方もいます。

実際の現場では、正しい技術や理論が浸透していないサロンも多く、「その技術は誰に教わったの?と聞くと、必ず「先輩に教わった」「動画で」と答えるんです。間違った知識や技術の上書きになっている状態なんです。その度に「大きな事故が起きてなくてよかった…」と胸を撫でおろすこともしばしば。

だからこそ日本アイリスト協会の検定は、ベースの知識と技術をとことん追求しています。地道な作業ではありますが、事故をゼロにするためにも正しい知識と技術を伝え続けることが、私たち日本アイリスト協会の使命だと思っています。実際に日本全国にいる認定講師も、それぞれの立場で正しい知識や技術を伝える活動を行っています。またアイラッシュ業界に限らず、メーカーなども含めまつげエクステ業界に携わるすべての人で協力し合って発信することも大切なのではないでしょうか。

認定講師の先生方も、それぞれが新たな技術や情報を受講するなどしています。認定講師資格に更新制度などはありませんが、講師会の際には認定講師間で能力を確認するため時間を設けることも。スクール生の合否や指導内容にも関わってくるので、認定講師の資質向上にも常に力を入れています。認定講師となったからといって、一生あぐらをかいている方は一人もいらっしゃらないんです。

協会活動へのニーズを、どのように巻き取り、形にしているんですか?

以前は各地でセミナーを開催し、その際に必ずアンケートを実施して一般技術者からの声を拾いあげていました。しかし今はコロナ禍でセミナーを開催することが難しいため、主に協会の企画委員が自ら発案し、実行していくという形で進めています。ただし、真新しいものを追いかけるよりも、この先も変わらない確かな情報をずっと発信し続ける、教育し続けるということが重要です。さまざまな企画を立て、新しい技術に関する情報を発信すること、トレンドももちろん大切ですが、ベースの技術や知識をブレずに地道に発信し続けることが私たちの役目だと思っています。

この度、日本アイリスト協会と一般社団法人日本まつ毛エクステンション認定機構、日本まつげエクステ協会の3団体が、まつげエクステのジャパニーズベーシックという教育プログラムと検定を初めて作ったんです。このEyelash Japanese Basicを美容学校のカリキュラムにも入れたらいいと思いますし、海外から日本のまつげエクステの技術を学びに来たいという方にも、すごく喜ばれると思っています。

志太さんが考えるアイラッシュ業界、美容業界の未来とは

志太しおん様インタビュー

今後のアイラッシュ業界、美容業界はどのように変化していくとお考えですか?

私たちが携わる、この美容業界におきましては、昨今進んでおります「AI技術」等では対応できないことであり、又、女性の美に対する意識というものは、時代が変わろうと普遍的、進化し続けるものと考えております。

ここ最近の流れからすると、アイラッシュサロンにおいても、まつエクメニューにとどまらず、「アイブロウ」や「ネイル」「エステ」など複数のメニューを持っているトータルビューティーサロンが多くなっている印象です。そういう観点では、これからも多様化は進んでいくと考えます。

総合力をもったサロンや施術者でないと、生き残りは難しいでしょうか?

いえいえ、そんなことはありません。自分の得意なこと1本で食べて行ける事が何よりです。生徒さんの中からも「1人でやっているから自信がなくなり、仮に3年後は大丈夫だろうか?と不安になる」と相談を受けること多々あります。そのような生徒さんには、「3本の柱を意識する」と良いよと伝えています。何かダメになっても、あと2つあれば何とか生きていけますよね。

例えば、①施術のパフォーマンス向上、②まつげ美容液などのサロン専売品のご案内、③圧倒的なサービスやサブメニューなど、力を入れる点を3つにするんです。施術のパフォーマンスに不安を感じたら、お客様とのコミュニケーションに力を入れるなど、残りの2つの柱に力を入れるんです。そうすることで不安から少しでも脱却できるのではないかと考えております。

まとめ

トレンド性の高い技術を習得し、伝えることももちろん必要。しかし日本アイリスト協会は、常にベーシックな技術や知識を発信し続けることに重きを置いています。それは、事故をゼロにするため、安全・安心な技術を提供するためにほかなりません。志太さんをはじめ、日本全国にいる認定講師の先生方の地道な活動により、消費者に安心して施術を楽しんでいただき、アイラッシュに携わるすべての人たちが安心して働ける環境が整えられているのでしょう。210917Euk

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