「まつげパーマ」が残っている方へ…メカニズムを理解した上の「デザイン提案」とは?

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最近またブームが再燃している「まつげパーマ」。「マツエク」と「まつげパーマ」はそれぞれ別の施術と捉えれば、どちらも“良い施術”なのですが、まつげパーマが中途半端に残った状態で「またマツエクに戻ろう」となると、お断りしているサロンも多いのではないでしょうか。今回は、そのメカニズムと、まつげパーマが残っているお客様に技術力で応えるための方法を学びましょう。

パーマが残っている状態のまつげとは?

ロッドを使用し、まつげにカールを付けるまつげパーマ。髪の毛にパーマをあてた人には想像できますが、パーマをかけたばかりの髪の毛は形状を記憶しており、カールが強く残っていることと思います。
まつげパーマも同様です。パーマが残っている状態とは、カールが付いていることを指します。とはいえ、時間の経過とともにカールも取れていき、次第に自然な自まつげへと戻っていくようです。まつげパーマをあててしばらく経過したまつげの状態とはいったいどういう状態なのでしょうか。一度整理してみましょう。

パーマが残っている状態のまつげ

カールがついているまつげと、自然に戻るまつげが混在している
パーマ液によってダメージを受けている

以上のように、まつげパーマの後のまつげは何もしていない自まつげの状態とは異なります。
まつげパーマはすべてのまつげに対し、均等にかかるわけではありません。産毛はまつげパーマがそもそもかかりにくかったり、毛質の個人差によっては全体的にかかりにくかったり、かかりやすかったり…と様々。
そのため、施術からしばらく経つと

①カールが完全に残っているまつげ

②若干のカールが見られるまつげ

③カールがとれ自然な状態のまつげ

に分かれます。
そして、これら①~③すべてがランダムに混在し、まつげそれぞれにカール差が出る状態がまつげパーマ後の自まつげの様子です。
そしてまつげは、使用する薬剤にもよりますが、パーマ液によって相当なダメージを受けています。パーマ液の主成分はチオグリコール、そして過酸化水素水です。チオグリコールは髪の毛に使うパーマ液にも含まれており、毛髪中の結合を分解する働きがあります。このように、一度毛の構造を変えて、カールをつけるのがまつげパーマ。髪の毛のパーマをあてた経験がある人は想像しやすいかもしれませんが、パーマをあてたことで、元の髪質よりも

「チリチリする」

 

    • 「切れ毛が増えた」

 

      • 「カラーが抜けた、パサつくようになった」

ということはないでしょうか?これはすべてパーマ液がもたらす傷みの影響です。
まつげパーマ液は日々進化し、まつげに優しい成分が配合されたものや、化粧品登録された安心して使用できる商材などが充実してきました。しかし、どうしてもノーダメージでカールをつけることはできません。 まつげパーマ後の正しいケアで傷みは軽減されますが、何もしていない自まつげに比べると、まつげパーマ後の方が傷んでいる状態と言えるでしょう。

さて、まつげパーマをあてた後の状態をまとめました。これを踏まえ、なぜまつげパーマとマツエクを併用することをオススメできないのか、そのメカニズムに迫りましょう。

なぜ、まつげパーマの残るまつげへのエクステをおすすめしないの?

まつげパーマとまつげエクステの併用。これをおすすめしない理由は、先ほどの「パーマが残っている状態のまつげ」から考えると想像がつくことと思います。
理由はアイリスト個人やサロンの考え方により様々ありますが、代表的なものをまとめました。

エクステの接着面がしっかり取れないから
マツエクのモチが悪くなるから
きれいな仕上がりにならないから

理由をひとつずつ見ていきましょう。

エクステの接着面がしっかり取れないから

まつげパーマ後、カールの残るまつげへはエクステの接着面がしっかりと取れません。平らなエクステの接着面と、カーブがかった自まつげの角度に差が出て、接着しづらくなるのは一目瞭然です。また、カーブが強いエクステを装着する際は、グルーの量を少なめに調節しますよね。接着面がしっかり取れないこの状態では、装着するエクステのカールが緩いものに限定されてしまいます。もし、お客様がカールの強いものを希望された場合、オーダーに添えない結果になるでしょう。
そもそも、接着面がしっかり取れない=エクステが取れやすくなるので、十分お客様に説明し、まつげパーマとエクステを併用する危険性をご理解いただかなければなりません。

マツエクのモチが悪くなるから

接着面がしっかり取れないことと共通しますが、カールがかかったまつげに行うマツエクは、もちろん取れやすくモチも悪くなります。何より、先ほども説明したまつげパーマがもたらす自まつげへのダメージ。これが、モチが悪くなる最大の要因と言えるでしょう。
マツエクの施術前にも、アイリストは自まつげの状態に細心の注意を払うことと思います。例えまつげパーマをしていない自然なまつげであっても、お客様の体調や紫外線を浴びた量など、内的・外的要因でマツエクのモチは変わってくるもの。その中で、まつげパーマで受けた自まつげのダメージ見逃せない点でしょう。この“傷み”からくるモチの悪さも、まつげパーマとマツエクの併用がおすすめできない理由のひとつです。

きれいな仕上がりにならないから

「パーマが残っている状態のまつげとは?」でも説明したパーマによるまつげのカーブ差。まつげそれぞれに異なるカーブがついている状態でエクステを装着すると、どのような仕上がりになると考えられるでしょうか。
まずはカールが取れているまつげを選定し、エクステを装着します。するとエクステのカールとパーマによってつけられた自まつげのカールが合わず、仕上がりが不自然になることも。また、カールの残るまつげにエクステを装着する際も、エクステのカーブを見極めなければ変にカーブがかかり、バラついて見える仕上がりになります。

まつげパーマのカールが持続する期間はおよそ1ヶ月。その後、マツエクができるようになるまでは、自まつげへの負担を考えて「3ヶ月」あけなければなりません。この「3ヶ月」はサロンによって異なりますが、平均してこのぐらいの期間。とはいえ、まつげパーマがとれかかり、思うような目元が作れないお客様の中には、「マツエクを装着したい」と考える方もいらっしゃいます。
次は、それでもマツエクをつけたい方へのご提案の仕方、施術のコツに迫りましょう。

それでもつけたい方への提案と施術のコツ

「まつげパーマがまだ残っているけれど、それでもマツエクをつけたい」。このようなオーダーをお客様から受けた経験は、少なくないのではないでしょうか。

まつげパーマは目元を強調する“良い施術”ではありますが、デメリットもあります。そのひとつが「自まつげ以上のボリュームは出ない」という点です。
まつげパーマは自まつげを増やしたり、長さを出したりする方法ではないため、やってみたものの「思ったよりもボリュームが出ない」と感じてしまいがちです。そのため、さらに目元に華やかさを求めるお客様の中には、マツエクを希望される方もいらっしゃることでしょう。そんな時はお客様にどう提案し、施術を行えばよいのでしょうか。

提案のコツ

まずは、提案のコツです。これまでにも説明した通り、まつげパーマが残っている=自まつげのカールが強いと考えて、エクステのカールは緩めのものをご提案しましょう。これで接着面をできるだけ確保し、仕上がりにもさほど影響が出ないようにしておきます。
しかし、どうしてもカールのない自まつげよりもモチが悪くなり、エクステが取れやすく、バラついた仕上がりになることは予想できますよね。こちらをご理解いただけるよう、しっかり事前に説明しましょう。
もし、パーマがしっかり残っている上カールの強いエクステをご希望で、「例え施術してもお客様のご希望に添えない」と判断した場合は、アイリストのプライドを持ってお断りする勇気も必要です。アイリストはお客様のなりたい目元を叶える存在。マツエクの施術により自まつげに影響が出たり、納得いただけない仕上がりになるようでは、サロンの信頼感やサロン品質にも関わります。冷静に判断し、お客様が不愉快にならない程度で、最適なご提案をしましょう。

施術のコツ

パーマは取れかかっており施術は可能。お客様もまつげパーマが残っている状態でのエクステ装着の危険性・仕上がりを納得している、となれば施術開始です。その際、施術のコツは、パーマが残っていないまつげを素早く選定することです。
もしパーマが残っていないまつげが大半を占めており、さらに均等にエクステを装着できるようであれば、パーマが取れているまつげのみにエクステを装着しましょう。それでは本数が確保できない場合はボリュームラッシュをご提案するなど、お客様好みのボリュームに仕上がる工夫も必要です。
カールが残っているものと残っていないもの、これらが混在している場合は、残っているカールに対してエクステのカールを合わせ、それぞれ異なるカールのエクステをつけていきます。
しかし、きれいに揃えることが難しいまつげの状態であることが施術前から分かっていれば、お客様には納得いただけるよう説明が必要。また、まつげパーマから十分な期間をあけずマツエクをするとなれば、自まつげへかかるダメージも考えなくてはなりません。施術後は自まつげケアのご案内をしてくださいね。

今回ご紹介したのは、まつげパーマの残る自まつげへのマツエク施術方法です。同時施術が可能かどうかについては、過去の記事のこちらをご覧ください。

同時施術を行うサロンも少なからずありますが、自まつげへの負担を考えて、ボーテでは「一般的に同時施術は危険度が高くデメリットも多い」と結論づけています。

まとめ

「まつげパーマをしているけれど、マツエクがしたい」。このようなオーダーに対するご提案と、施術の仕方をご紹介しました。「きれいな仕上がりにならない」「モチが悪い」など、危険であることは承知ですが、お客様もぱっちりとした華やかな目元を求めていらっしゃいます。その際は、危険性を納得いただける十分な説明ができるよう、まつげパーマ後の自まつげの状態をしっかりと把握しておきましょう。180905E3s

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