お客様が寝てる時に目がキョロキョロ動くのはなぜ?睡眠中に目が動くメカニズムを解説

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「寝てる時にお客様の目がキョロキョロ動いている」そんな場面に遭遇したことがあるアイデザイナーも多いはず。しかしなぜ睡眠中に目が動くのか、その理由をきちんと理解している方は少ないかもしれませんね。実は目が動く原因には、睡眠のリズムが関係しています。この記事では、寝ている人の目が動く理由やメカニズムなどについて解明。施術中に、お客様の目がキョロキョロ動いた時の対策についてもご紹介するので、ぜひ目を通してみてください。

寝てる時にお客様の目が動くのはなぜ?

寝てる時 目がキョロキョロ

お客様が仰向けで寝ている時に目がピクピクしたり、動いたりしているのを見たことがあるでしょう。あまりにもすばやく動いているのを見ると「寝息は聞こえるけれど、本当は起きていらっしゃるのでは?」と思うかもしれません。
このように、寝てる時に閉じているまぶたの下で黒目の位置が動くことを「急速眼球運動」といいます。まぶたは閉じているのに、目がキョロキョロ・コロコロと動いている状態です。急速眼球運動は睡眠のリズムに伴って見られる現象で、大人・子供に関係なく誰にでも起こります。
また、寝ている時に白目をむいたように見えることもよくある現象の1つ。人はまぶたを閉じると黒目が自然と上に動くため、少し空いた目の隙間から白目が見えてしまうのです。このように、寝ているお客様の目が動いたり上を向いたりしているように見えるのは、決して珍しいことではありません。
しかし、施術中に寝ているお客様の目が動いてしまうと、デザインが崩れるだけでなくケガにつながる可能性も。寝ている間に起こる自然現象であり仕方のないこととはいえ、アイデザイナーとしてはできるだけリスクを減らしたいのが本音でしょう。
では、施術中にお客様の目がキョロキョロと動いてしまった時、どのように対処したら良いのでしょうか?対策を知るには、そのメカニズムを詳しく理解しておく必要があります。次項では、まぶたを閉じているのに眼球が勝手に動いてしまう理由についてもう少し詳しく説明しましょう。

目が動く理由は「レム睡眠」にあった!

寝てる時 目がキョロキョロ

睡眠にはレム睡眠とノンレム睡眠の2種類があります。レム睡眠の「レム(REM)」は、急速眼球運動を表す「Rapid Eye Movement」の頭文字を取ったものであり、文字通り急速眼球運動が見られます。
一方、ノンレム睡眠の英語表記は「Non-Rapid Eye Movement」。レム睡眠と反対の意味を表す言葉で、体も脳も休息した状態です。レム睡眠下で見られる急速眼球運動はノンレム睡眠では見られません。

レム睡眠のメカニズムとは?

レム睡眠の特徴は、体は休息している一方で脳は起きている時と同じように活動していること。筋肉は緩み全身の力は抜けていますが、脳は活発に動いて記憶の整理や定着を行っている状態です。
レム睡眠中は鮮明な夢を見ていることが多く、夢の中で見た景色や行動に合わせて眼球が動くとされています。これが、いわゆる急速眼球運動です。
レム睡眠下では、以下のような特徴が見られます。

・体の力が抜けている&まぶたは閉じているのに、目はキョロキョロと動いている
・薄目が開いている
・呼吸が速く浅い など

寝てる時に目がキョロキョロ動くとアイデザイナーとしては困る場面があるかもしれませんが、お客様はわざと動かしているわけではありません。その点は十分理解しておきましょう。

ノンレム睡眠の時はどうなるの?

目がすばやく動く急速眼球運動=レム睡眠について理解したところで、次はノンレム睡眠についての解説です。以下のような状態の時は、ノンレム睡眠であると思われます。

・寝返りをうつ
・呼吸が安定している&ゆっくり
・多少の音なら起きない

ノンレム睡眠は眠りの深さに段階があり、最も深い段階だと体を揺さぶられたとしても目覚めにくいのが特徴です。そのため、起きるのに時間が掛かったり起きがけは寝ぼけているような状態になったりします。目が動くことがないため、施術はしやすい状態といえるでしょう。
レム睡眠とノンレム睡眠は切っても切り離せない関係にあります。というのも、ノンレム睡眠とレム睡眠は交互に繰り返されるからです。

寝てる時 目がキョロキョロ出典:睡眠改善薬 ドリエル【エスエス製薬】 ※古賀良彦.『睡眠と脳の科学』祥伝社新書, 2014より改変

入眠後にまず訪れるのはノンレム睡眠。一気に深い眠りに入りますが、60分ほど経過すると次第に眠りが浅くなり、そのままレム睡眠へと移行します。その後はノンレム睡眠とレム睡眠を90分周期で繰り返し、睡眠の後半(目覚めの付近)になるとレム睡眠の割合が増えていくのが一般的です。
つまり、施術を開始してからすぐにお客様が眠ってしまった場合、レム睡眠=急速眼球運動が現れるのは60~90分あたりという計算に。睡眠のリズムや眠りの深さには個人差がありますが、これが基本的な睡眠のリズムです。

レム睡眠中、体が突然ビクッと動く現象も…

急速眼球運動の他にも、寝ている間の現象として突然ビクッと体が動く「ジャーキング」があります。ジャーキングは、眠りに入る時やレム睡眠時に起きやすいのが特徴。急速眼球運動とは異なり体が大きく反応することもあるため、施術中に起こると危険を伴う可能性もあります。

ジャーギングの対策が知りたい方は、ぜひこちらの記事もチェックしてみてくださいね。

寝てる時にお客様の目がキョロキョロ…できる対策はある?

寝ているお客様に急速眼球運動が起こると、まぶたも微妙に動きます。この状態でエクステを装着すると、デザインが微妙に変わってしまうことも…。しかし、急速眼球運動は無意識な行動のため止めることは難しいのが現実です。
では、急速眼球運動が起きてしまった時でも美しく仕上げるには、どうしたら良いのでしょうか?

寝てる時に目がキョロキョロするお客様への対処法

施術中は目を閉じて長時間ベッドに仰向けで寝転ぶため、寝てしまわれるお客様も多くいらっしゃいます。もしも施術中にレム睡眠の状態となり、急速眼球運動が起きた時は以下のように対応しましょう。

目が動き始めたら、目元からすぐにツイザーや指を離す

目が動いていると、ツイザーの先端が誤ってまぶたに当たってしまうかもしれません。ケガのリスクを避けるためにも、急速眼球運動が起きたらすぐに目元からツイザーや指を離すようにしてください。無理に施術を続けるのではなく、一旦手を止めてから再開のタイミングをうかがいましょう。

動きがおさまるまで待ち、施術を再開する

施術を再開するのは、動きがある程度おさまってから。付け放題などの時間制限があるメニューでは難しいケースもありますが、安全性と仕上がりの美しさを考慮し、可能な範囲で急速眼球運動がおさまるまで待つのが理想です。
ただしあまりにも長引く場合は、お客様を起こしても良いかもしれません。その際は「お休みのところ申し訳ありません。目が動いてしまって…器具が当たってしまうと危険なので、起きていただけますでしょうか?」と理由を説明したうえで声を掛けるのが親切です。

また、お客様の中には寝てしまうことに申し訳なさを感じる方もいます。もしも「寝てしまってごめんなさい」といわれた時は、「構いませんよ」「リラックスしていただけて幸いです」など、フォローの言葉を添えるようにしましょう。

事前にできることはある?

急速眼球運動はお客様の体質やコンディションによっても起こる・起こらないが変わってくるため、基本的に対処するタイミングは施術の真っ最中であることがほとんど。ですが、事前にできることもわずかながらあります。
それは、レム睡眠とノンレム睡眠の周期を把握しておくことです。レム睡眠とノンレム睡眠は約90分の周期で入れ替わります。そのため、お客様が寝てしまわれたとしても「そろそろかな?」とある程度予測を立てることが可能に。完璧に把握できるわけではありませんが、心構えがあるだけでも焦らず対応しやすくなるものです。
また、お客様から事前に「今日は寝てしまうかも」とお申し出があったり施術中にだんだんと会話が少なくなったりと、感じ取れるサインも多々あります。こういったサインを見逃さないことも、アイデザイナーとしてできる対策の1つです。

まとめ

寝てる時にお客様の目がキョロキョロ動くと、つい焦ってしまうこともあるでしょう。しかし、急速眼球運動が起こる理由やメカニズムを知っていれば、落ち着いて対処できるようになります。事前にできる対策もありますが、急速眼球運動が起きた時にまず行動すべきは目元からツイザーを離すこと。焦らず状況に合わせて柔軟に対応することが、お客様の安全を守ることにつながります。お客様にとってもアイデザイナーにとっても快適な施術時間となるよう、正しい知識と対応力を備えておきましょう。

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