まつ毛の乾燥対策どうしてる？水分量が少ないお客様への配慮とおすすめのケア
まつ毛が乾燥すると、グルーが定着しにくかったりモチが悪くなったり…。マツエクの仕上がりに影響が出てしまうことはご存知でしょう。では、施術に来られたお客様の自まつ毛が乾燥していた場合、どのように対処するべきか知っていますか？今回の記事では、まつ毛の乾燥対策について解説します。アイデザイナーとしてお客様の状況に応じた適切なアドバイスができるよう、ぜひお役立てください。
乾燥まつ毛の状態とは？
「乾燥まつ毛」とは、文字どおり水分量が少なく、乾燥したまつ毛のことです。しかしながら、そもそも“まつ毛が乾燥している”とは具体的にどのような状態を指すのでしょうか。まつ毛の構造を復習しながら、理解を深めていきましょう。
まつ毛を構成する3つの層
まつ毛の内部は中心から外側に向かって、メデュラ→コルテックス→キューティクルの順に3つの層が形成されています。それぞれの主成分や特徴は、以下のとおりです。
中心部：メデュラ（毛髄質/もうずいしつ）
メデュラは、タンパク質と脂質などで構成されるまつ毛の中心部。空気を含んだハチの巣状の細胞がビッシリと並んでおり、しなやかで柔らかいのが特徴です。まつ毛の保湿や弾力性に関係すると考えられていますが、詳しい働きについてはまだ解明されていません。
一方で、メデュラは太くて硬い毛ほど量が多く、細い毛にはあまり含まれていないことが分かっています。一説によると、太さ0.09mm以上のまつ毛には必ずメデュラが含まれていますが、太さ0.06mm未満になると、約1割のまつ毛にしかメデュラは含まれていないそうです。
中間層：コルテックス（毛皮質/もうひしつ）
コルテックスはまつ毛の大部分（80～90％）を占めており、コルテックスの状態によってまつ毛の太さ・硬さ・強さなどが決まります。主成分は弾力性に富んだケラチンと呼ばれるタンパク質です。
通常5～10％の水分を含み、この水分量がまつ毛のしなやかさ・柔らかさを左右します。ラッシュリフト剤などの成分の影響も受けやすく、タンパク質が溶け出すことでツヤを失ったり、水分を調整する機能が低下したりすることもあります。
一番外側：キューティクル（毛小皮/もうしょうひ）
まつ毛の表面を覆っているのが、キューティクルです。イオウ含有量の多いケラチンを主成分とする硬い組織からなり、まつ毛の内部を守るバリアとしての役割を担っています。
最大の特徴は、ウロコのような細胞がまつ毛の根元から毛先に向かって何層も重なり合った構造をしていること。規則正しく整列することで、コルテックスに蓄えられた栄養分や水分が失われることを防ぎ、まつ毛にツヤを与えているのです。
しかしキューティクルの細胞は摩擦に弱くもろいため、外部刺激により剥がれてしまうことも。するとバリア機能が低下し、まつ毛の乾燥などにつながります。
まつ毛が乾燥する主な原因とは？
3層構造を理解すると、乾燥まつ毛がどのような状態にあるのか理解できたのではないでしょうか。まつ毛の表面を覆っているキューティクルが外部刺激などにより傷付き剥がれてしまうと、コルテックスのタンパク質や水分が失われます。これがまつ毛に乾燥をもたらす主な原因と考えられているのです。
乾燥まつ毛の対策とは？
乾燥まつ毛への対策を練るには、まずはキューティクルにダメージを与える要因を知る必要があるでしょう。キューティクルの主成分が、薄くもろいケラチンタンパク質で構成されていること、またタンパク質は熱に弱いことなどをヒントに考えます。
＜キューティクルにダメージを与える要因として考えられるもの＞
- 紫外線
- 海やプールなどのレジャー
- 熱すぎるお湯
- ホットビューラー・まつ毛ドライヤー
- 摩擦などによる物理的な刺激
- ラッシュリフト剤による影響
- 濡れたまま放置
- 空気の乾燥 など
乾燥まつ毛を改善したい場合は、これらの要素をなるべく排除することが重要です。とはいえ、一度乾燥したまつ毛の状態を回復させるには、それだけでは不十分なことも。まつ毛を健康な状態に導くには、保湿やダメージ修復の効果が期待できる美容液などでのケアがおすすめです。
ご存知のとおり、まつ毛は3週間～4ヶ月のサイクルで生え変わります。そのため美容液を使う際は、最低でも3～4ヶ月は継続して使用するのがポイント。そうすることで効果を実感できる可能性が高まります。
乾燥まつ毛におすすめの美容液3選
【Flap eyelashes】うる艶FFディープグロス
ケラチンやヒアルロン酸、セラミド、コラーゲンなどまつ毛のダメージ補修や保湿が見込める成分をたっぷりと配合。施術の仕上げにも使用できますが、ホームケアとして朝晩2回使用すればまつ毛にうるおいを与え、ハリやコシをもたらす効果が期待できます。香りは、すっきりとした爽やかさを感じられるウッディシトラス。リラックスタイムにぴったりで、優しく心地よい香りがまつ毛ケアの時間を特別なものにしてくれそうです。
【LADYCOCO】アイラッシュセラムグロウ
サロン専用のまつ毛トリートメント「EYELASH SUPPLI D-MAX」のホームケア版として開発されたアイテム。プラセンタエキスをはじめ、保湿効果の高い成分が配合されており、乾燥を防ぎつつハリのある丈夫なまつ毛へと導きます。また、まつ毛の生え際にも塗りやすいよう極細タイプの筆を採用。まつ毛の他にまぶたや眉毛など、目元全体の保湿ケアとしても有用です。
【TRUMP COSMETIQUE】まつ育セット №6ピック アイラッシュアンドアイブロウセラム・リペアコーティングマスカラ
元気で健康的なまつ毛の土台作りをサポートしてくれるアイテム。まつ毛美容液とリペアコーティングマスカラの2つがセットになっており、まつ毛の保護と健やかな成長を同時に叶えてくれるのが特徴です。さらに、リペアコーティングマスカラは美容液としてだけでなく、マスカラ下地や眉毛への使用も可能。ハリやコシ、ツヤを与え、1本1本しなやかで強いまつ毛を育みます。
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施術中にできる乾燥まつ毛の対策とは？
まつ毛が乾燥ぎみのお客様への施術で「グルーの付きが悪いな…」と感じたことがあるでしょう。グルーの硬化がスムーズにいかない現象には、室温や湿度などの要因も影響しますが、一番の原因として考えられるのはまつ毛の水分不足です。通常、グルーの硬化速度を安定させるためには、室温は20～25℃、湿度は50～60％の範囲で一定に保つ必要があります。しかし、最適な環境が整っていたとしてもお客様のまつ毛が乾燥している条件下では、グルーの主成分であるシアノアクリレートの硬化がスムーズに進みません。
なんとか施術を終えたとしても、グルーの接着力が弱かったり自まつ毛が抜けやすかったりして、モチが悪くなることも。
ちなみに、中間層のコルテックスは通常5～10％の水分を含んでいますが、5％未満になると乾燥状態にあり、ケアが必要になるといわれています。そのためダメージ補修力や保湿力の高い美容液で、お客様にホームケアを継続してもらうことは、乾燥まつ毛の改善効果が期待できる対策の1つです。
では、施術に来られたお客様のまつ毛が乾燥していた場合、アイデザイナーとしてはどのように対応すべきなのでしょうか。
エクステ装着前に、自まつ毛の水分量をキープ or アップさせる
自まつ毛の乾燥がひどい場合には、施術をスムーズに進めるため、そしてマツエクのモチを良くするためにも、以下のように自まつ毛の水分量をキープ（今以上乾燥させない）または一時的に水分量をアップさせる処置を施すことをおすすめします。
・オプションメニューとして保湿効果のあるトリートメントやアイシャンプーをおすすめする など
オプションメニューをおすすめする際には、トリートメントやアイシャンプーのメリットだけをお伝えするのでなく、乾燥対策をしないまま施術することによるデメリットも併せてお伝えするほうがご納得いただきやすいようです。もちろんデメリットの部分はやんわりと会話の中に盛り込んでくださいね。
「少し自まつ毛の状態が乾燥しているようですが、これまでマツエクが取れやすいなぁとか、自まつ毛がよく抜けるなぁと感じられたことはありませんか？もしマツエクのモチが気になるようでしたら、まつ毛の水分量アップやキューティクルの保護などが期待できるトリートメントがおすすめですよ！実は、マツエクのグルーって水分と反応して固まるんです。なので、まつ毛の水分量が少ないとグルーがスムーズに固まらなくて、モチが悪くなってしまう場合も…。そのため施術前にまつ毛の水分量をアップさせることは、マツエクにとって大きなメリットなんですよ。いかがでしょうか？」
モチが良くなる・まつ毛が清潔になる・ハリやコシがうまれる・ツヤがアップするなど、お客様にとってのメリットが引き立つようおすすめできると良いでしょう。特にアイシャンプーは乾燥が気にならない場合でも、まつ毛ダニの繁殖を防ぐ効果が期待できるため、併せてお伝えするとより説得力が増します。
お客様がオプションメニューを希望されなかった場合や適当なオプションメニューがない場合には、エクステに塗布してグルーの接着力を高める「グルー接着強化剤」を用いるのも方法の1つです。
おすすめの施術用トリートメント剤
乾燥がひどいまつ毛には、中間層のコルテックスにまでしっかりとトリートメント成分を届けるハイクオリティな施術用トリートメント剤でケアするのがおすすめです。お客様のニーズに応えられるだけでなく、客単価やリピート率アップ、他のサロンとの差別化などさまざまな効果が期待できます。ぜひオプションメニューに取り入れてみてくださいね。
【VENUS PLATINUM】アイラッシュエイジレストリートメントセット
【セット内容】
アイラッシュ・エイジレストリートメント1st 5ml
アイラッシュ・エイジレストリートメント2nd 5ml
アイラッシュ・エイジレストリートメント3rd 5ml
販売メーカーは、サロン運営で培ったノウハウを商品開発に活かし、高品質なマツエク商材を多数展開することで知られる『VENUS PLATINUM（ヴィーナスプラチナム）』です。皮膚科医監修の施術用トリートメント「アイラッシュエイジレストリートメントセット」は、アイホール全体（毛根・毛根周り・目周り・まつ毛）の環境を整えることにより、ダメージを修復します。
最大の特徴は、施術ステップに沿って3つのトリートメント剤を段階的に使い分けること。最後に使用する「アイラッシュエイジレストリートメント3rd」をまつ毛に塗布したのち、エアーコンプレッサーで乾燥させると、キューティクルが締まり、コルテックスにトリートメント成分がしっかりと保持されます。全ステップ完了後は、まつ毛に付着した水分を飛ばしてから、エクステ装着を開始します。
【LADYCOCO】EYELASH SUPPLI D-MAX
EYELASH SUPPLI D-MAX 1液 5g
EYELASH SUPPLI D-MAX 2液 5g
健康なまつ毛へと導く希少成分エクソソーム*¹やヒト幹細胞培養液*²を配合するプロ専用のまつ毛トリートメント。エクステの装着前に1液と2液をそれぞれ塗布するだけで、自まつ毛に必要な栄養をしっかりと補給します。施術時間はたった5分で、オプションメニューとして導入しやすいのもポイント。毛周期に合わせて3回程度継続すれば、マツエクのモチがアップしたり装着可能な本数が増えたりと、目に見える変化を実感していただけるはずです。すでにご紹介した「アイラッシュセラムグロウ」と同じメーカーが販売しており、併用することでさらに高い効果が見込めます。
*¹ヒト脂肪由来間葉系細胞エクソソーム（整肌成分）
*²ヒト脂肪細胞順化培養液エキス、ヒト幹細胞順化培養液（整肌成分）
【Odette】フェニックスアイ プロフェッショナルラッシュトリートメント＜イエスタディ＞＜トゥモロー＞
ホームケア製品「フェニックスアイ」シリーズでおなじみの『Odette（オデット）』から販売されている施術用トリートメントです。＜イエスタディ＞はダメージ補修に着目しており、キューティクルの損傷をケアする他、バリア機能の再構築をサポートする効果が期待できます。
＜トゥモロー＞は、成長因子としても知られるKGF（ケラチン細胞増殖因子/表皮細胞増殖因子）を配合。毛根環境にアプローチし、今あるまつ毛だけでなく将来のまつ毛を補強・保護することで、本来のハリやツヤを取り戻します。＜イエスタディ＞と＜トゥモロー＞はそれぞれ単品でも使用できますが、最大限のケアを目指すなら併用がおすすめです。マツエクの前処理後、まつ毛の根元にお使いください。
まとめ
まつ毛の乾燥状態を把握し、ニーズに合わせた施術を行うには、まつ毛の構造を正しく理解することが重要です。今回学んだように、まつ毛が乾燥するとグルーが定着しづらく美しい仕上がりが望めません。ホームケアとしてまつ毛美容液を塗布することで乾燥状態を緩和させることはできますが、施術中に対策するのであれば自まつ毛の水分量をキープしたりアップしたりできるオプションメニューの提案がおすすめです。すべてのお客様にご満足いただけるよう、臨機応変に対処できるスキルを身に付けましょう。
※本記事の内容や価格はすべて、2025年5月時点のものです。最新情報は、公式HP等よりご確認ください。
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