マツエクでしみるトラブル防止!アイデザイナーが押さえるべき対処法

マツエク施術中、「目がしみる」「目が痛い」などと訴えるお客様は少なくありません。中には涙が増えたり、充血したりする方も。なぜ、マツエクの施術で目がしみてしまうのでしょうか?考えられる原因は、グルーに含まれる揮発成分や、アイデザイナーの施術方法にあります。この記事では、しみる原因をくわしく解説するとともに、アイデザイナーとして心得ておきたい対処法もご紹介。お客様が目元の異常を感じたときに落ち着いて対処できるよう、改めてしっかり確認しておきましょう。
施術中に目がしみる原因はグルーの成分かも
マツエク用グルーの主成分であるシアノアクリレートは、空気中の水分と反応して硬化する際に、揮発性物質のホルムアルデヒドを発生させます。このホルムアルデヒドこそが、マツエク施術中に目がしみる原因のひとつ。目に直接グルーが入っていなくても、揮発成分が目に触れることで、涙や充血を引き起こす場合があります。下記は、シアノアクリレートの分類表です。
名称※ |
用途 |
刺激性 |
臭い |
粘度 |
強度 |
メチル |
工業用に近い 金属・壁 |
強い |
強い |
弱い |
○ |
エチル |
強い |
強い |
弱い |
○ |
|
メトキシエチル |
プラ・ゴム・金属 |
弱い |
弱い |
強い |
△ |
ブチル |
医療用・プラ・ |
弱い |
弱い |
強い |
△ |
オクチル |
弱い |
弱い |
強い |
× |
※名称はシアノアクリレートを省略した短縮名称。
マツエクで使用するグルーは主にエチル系、ブチル系の2種類です。表からも分かる通り、エチルの刺激性は“強い”一方、ブチルの刺激性は“弱い”とされています。エチル系グルーは、少量で速く硬化するというメリットがある一方で、ホルムアルデヒドの放出量が多く、刺激が強いことがデメリット。施術の際はグルーの成分や特徴にも着目して、アイデザイナーとしてできる対処をしていきましょう。
お客様の目は開いてない?テープやエアーコンプレッサーで対策を!
マツエク施術中に「目がしみる」といわれた場合、グルーの刺激成分だけでなく、お客様の目が薄っすら開いてしまっている可能性があります。そこで重要なのが、テープやエアーコンプレッサーなどによる対策です。
テープワークの貼り方を見直す
まず見直したいのが、アンダーテープやアッパーテープの貼り方です。アンダーテープを下に引っ張りすぎていたり、アッパーテープを引き上げすぎていたりすると、お客様のまぶたが薄く開いてしまうことがあります。この状態では、刺激から目を守るために涙が出やすくなり、グルーに涙が付着する可能性が高まります。グルーが水分に反応して白く変化する「白化現象」の原因にもなりかねないため、テープワークは正確に行いましょう。マツエクで目がしみるのを防ぐには、こうした技術も必要不可欠です。
▽上手なテープの貼り方についてはこちらもチェック
ラッシュファンなどのアイテムを活用する
ラッシュファンやエアーコンプレッサーなどで、グルーの揮発成分を飛ばす方法も有効です。施術中こまめに風を当てることで、ホルムアルデヒドなどの刺激成分が目に触れるリスクを減らせます。少し手間はかかりますが、トラブルを未然に防ぎやすく、施術中の快適さや丁寧さが顧客満足度の向上にもつながります。最近では、スイッチひとつで風量を調整できるラッシュファンなど種類も豊富。グルーの硬化速度を速めることで施術時間のスピードアップも望めるため、導入して損はないアイテムといえます。
▽ラッシュファンなどの役割と選び方についてはこちら
施術前にチェック!「マツエクでしみる」を防ぐ4つのポイント
マツエクで目がしみるというトラブルには、対処だけでなく予防が重要です。ここからは、トラブルを防ぐために施術前にチェックしておきたいポイントをご紹介します。
1.お客様の目の状態を確認する
お客様の目が充血していたり、乾燥したりしている場合、ホルムアルデヒドなどの揮発成分に反応しやすくなります。とくにドライアイの方は、目を閉じていてもテープによるわずかな隙間によって目が乾きやすい状態です。マツエクの施術前にお客様の目の状態を確認し、しみることに不安感がある方には目薬を使用してもらう、また症状が強い場合は施術をお断りする判断も必要です。
2.アレルギーの可能性も考慮する
グルーの揮発成分でしみるのではなく、グルーそのものにアレルギー反応を引き起こしている場合もあります。今まで問題なくマツエクを続けていた方でも、突然発症することがあるグルーアレルギー。主な症状は充血やまぶたの腫れ、皮膚のかゆみなどですが、お客様自身もアレルギーだと気づかず、単なる刺激と捉えてしまうことも少なくありません。症状の出方には個人差があるため、アレルギーの疑いがある方には事前のパッチテストをすすめたり、約2秒で硬化が完了するLEDマツエクを提案したりするなど、発症を予防する選択肢をいくつか準備しておくことが大切です。
▽グルーアレルギーでもマツエクの施術を希望されるお客様への対処法はこちら
3.グルーの種類を見直す
速乾性の高いグルーは施術時間を短縮できる反面、硬化時に発生する揮発成分が強く、目にしみやすい傾向があります。グルーには低刺激タイプ、敏感肌用などさまざまな種類があるため、カウンセリング時にその特徴を説明し、お客様の体質や目の状態に合ったものを選びましょう。
4.グルーが目に入る可能性を排除する
本来あってはならない施術ミスですが、装着する部分が根元に近づきすぎると、グルーが目に直接触れる可能性が高まるため注意が必要です。また、技術力が伴っていないアイデザイナーが、扱い慣れないサラサラのグルーを使用することで、目に流れ込むことも考えられるでしょう。
また、お客様の中には、コンタクトレンズを装着したままマツエクの施術を受ければ、しみる原因のホルムアルデヒドをガードできるように感じる方もいます。しかし、万が一グルーが目に入るとレンズを溶かしてしまうリスクもあるため、コンタクトレンズは施術前に外していただくようにすすめましょう。
もしもお客様から目がしみるといわれたら?
マツエク施術中は、前提として「目はしみていませんか?」とこまめに声を掛けることが大切です。しかし、どれだけ注意を払っていても、施術中に目がしみるトラブルが起こる可能性はゼロではありません。お客様から「しみる」といわれたら、まずは状況をしっかりと説明し、なぜしみているのかお伝えすることを心掛けましょう。
また、マツエク施術後に目がしみる症状がいつまで続くかは予測できません。お客様が帰宅後も目元の異常を感じるようなら、すぐにサロンへ連絡してもらうよう案内しておきましょう。万が一グルーが目に入っていた場合、流水で15分以上洗眼し、お客様に眼科を受診してもらう必要があります。仮に問題ないように見えたとしても、アイデザイナーが医療的な判断を行うことはNG。お客様との信頼関係を築くためにも、丁寧な説明とリスク管理を徹底しましょう。
まとめ
マツエク施術中の目がしみるというトラブルは、グルーの揮発成分や目の状態、アイデザイナーの施術方法など、複数の原因が考えられます。施術前にしっかりカウンセリングとリスクの説明を行うことはもちろん、グルーの選定やテープワーク、ラッシュファンの使用など、アイデザイナーが配慮できるポイントはたくさん。万が一トラブルが起きた場合には、適切な対応と医療機関の受診を促すなど、責任ある対応を心掛けましょう。お客様に安心してマツエクを楽しんでいただくためにも、改善できるポイントは積極的に工夫してみてください。
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