“マップブロウ”の技法で知られるアイブロウデザイナー・住原さんにインタビュー

この記事をシェアする
サムネイル

今回は、アイラッシュ&アイブロウ専門店『Eye Haven(アイヘイブン)』のオーナー・住原 美穂(すみはら みほ)さんにインタビュー。顔に線を描いて眉毛の形をデザインするアイブロウ技法で知られる住原さんの、サロンオープンまでの経緯や壁にぶつかったときの乗り越え方、施術の愛用品、やりがいなどを詳しく教えていただきました。

プロフィール│住原 美穂さんとは

アイデザイナー 住原 美穂(すみはらみほ)さん

メイクアップスクールを卒業後、20歳でロンドンのメイクスクールへ。帰国後はメイクアシスタントとして活動し、2017年にアイラッシュ&アイブロウ専門店『Eye Haven(アイヘイブン)』をオープン。現在は、施術以外にアイブロウ・メイクセミナー講師としても精力的に活動中。

Instagramのフォロワー数は7.8万人(2025年8月現在)と、多くのファンを持つ住原さん。技術力の高さがうかがえるアイブロウの動画も多数投稿されています。顔に線を描いて眉毛の形をデザインする、アイブロウのマッピングは必見です!

▷住原 美穂さんの公式Instagramはこちら

―――アイブロウのマッピングについて教えてください。
マッピングはもともとアートメイクに用いられていて、その技術をアイブロウに応用したもの。当時、アイブロウの施術はフリーハンドで行うことがほとんどでした。そこで、より1人1人の顔に合わせて整えるために“マップブロウ”の技法をサロン向けに考案。顔に直接線を描くことで、眉毛の左右差や高さを合わせやすくなるんです。

メイクの仕事経験を積むうちにアイの仕事に可能性を感じ、“メイクとアイの融合”を考える

―――住原さんが美容に興味を持ったきっかけは?
中学生の頃、外見に傷を負った人が前向きに治療をするための“医療メイク”に興味を持ったのが最初のきっかけですね。そこからメイク全般に興味が広がっていき、メイクアップアーティストになりたいと思うようになりました。日本でメイクアップスクールに通った後、20歳でロンドンのメイクスクールへ。子ども時代をアメリカで過ごしたので、ロンドンにいた約1年間は言語に困ることはありませんでした。

―――美容分野で最初に興味を持ったのはメイクだったのですね。帰国後はすぐにメイクの仕事に就かれたのでしょうか?
当時の日本では“メイクとヘアは一緒の仕事”とされるのが一般的だったんです。海外ではメイクとヘアの仕事は別々という認識だったので、帰国後に仕事を見つけるのがなかなか難しくて。日本でメイクアップアーティストとして働くには、現場によっては美容師免許が必要なんです。とくにテレビ局関連の仕事では必要とされましたね。
私が通っていたメイクアップスクールでは、美容師免許の取得はできませんでした。「免許がないまま日本でメイクの仕事をするのは難しい」と感じたことから、通信制のスクールへ。3年通って免許を取得しました。

―――美容師免許を取得するまでの、メイクの仕事に関するエピソードを教えてください。
美容師免許を取得する前は、ヘアメイクの仕事をしていました。ファッションショーやブライダル、プロモーション撮影など、メイクの仕事はひと通り経験しました。その中で感じたのが、サロンでのメイクは成人式や結婚式といった“特別な日のもの”ということ。日常的にサロンでメイクをする人は少なく、リピートの難しさを感じていました。

―――住原さんがアイの仕事に興味を持つようになったきっかけは?
メイクの仕事をしている私にとって“アイの仕事=かなり範囲が狭い”という印象で、アイに関することはあまり知らない状態でした。しかし、範囲が狭いからこそ「アイの仕事のほうがリピーターにつながりやすいのでは?」と感じていたんです。当時はまだ、メイクとアイが融合しているサロンがほとんどない時代。「自分が店を持つ頃にはメイクとアイ(アイブロウ)を一緒にできたら」と思うようになりました。

顔全体を整えるには“眉毛”が欠かせない!お客様の悩みに応えるためアイブロウに注力

―――独立に関するエピソードを教えてください。
独立に関しては、「30歳までには自身のサロンを持ちたい」と考えていました。管理美容師の資格を取得するために3年間サロンで働いたり、資金を貯めたり、サロンオープンに向けていろいろと準備しました。
『Eye Haven』オープン当初は、まつげの施術メニューをオーダーするお客様がほとんど。メイクはアイの施術後に“これから出かけるお客様のためのお直し”がきっかけで始めました。アイブロウはサービスではなく、裏メニューのようなものだったんです。

―――Instagramで集客を行うにあたり、アイブロウに目を向けるきっかけがあったのだとか?
サロンオープンから1年ほど経った頃、集客方法をクーポンサイトからInstagramに変えました。当時妊娠していたため体調が安定せず、より効率的に集客できるInstagramに注力することにしたんです。施術写真をたくさん撮り始めたのもこのタイミングですね。
その頃、まつげ(目元)アップの写真を投稿する人は多かったんですが、“まつげだけがきれい”という点に違和感があって。「眉毛も一緒に整えたほうがもっときれいな写真になるのに」と感じていました。

―――“住原さん=アイブロウ”という印象が定着していくまでの経緯を教えてください。
コロナ禍の緊急事態宣言で『Eye Haven』も2ヶ月ほど休業しました。そのタイミングで以前から目をつけていた“マッピング”を特訓することに。マスク装着が当たり前の時代に突入したことから「眉毛への注目が高まるだろう」と考え、アイブロウにシフトしていったんです。
アイブロウの施術メニューを取り扱うサロンがまだまだ少ない状態で、「これまで培ってきたメイクの技術を駆使して顔全体を整える力をブラッシュアップしたら、お客様のさまざまな悩みに着目できるのでは」と考えたんです。

“マップブロウ”の技法で知られるアイブロウデザイナー・住原さんにインタビュー

施術で眉毛を整えたお客様から「メイクが楽になった」「ベースが整うと顔の印象が今までと違って見える」といった声をいただくことも。メイクの中でも“眉毛=難しい部分”と感じているお客様が多い印象だったので、「眉毛をもっと発信していけばメイクに悩む人の参考になるかも」と考え、Instagramに眉毛の写真をどんどん投稿していったんです。

自身をコントロールして気持ちの切り替えを。講師活動はある人物の声がきっかけに

―――これまでに壁にぶつかった経験は?そのときの乗り越え方も教えてください。
メイクも含め、美容業界は個性的な人が多いんです。その中で「私って本当に普通なんだな」と感じたときは、自分を見失ってしまいました。私はもともとテンションが高いほうではないので、“普通じゃない自分になりたい”という気持ちがあっても、振り切るのは難しくて。ただ、プロとして“お客様の前に立った瞬間に切り替える”という点は心掛けていました。コンディションに左右されないよう自分をコントロールできるようになるまでは大変でしたが、そこを乗り越えてからはぐっと楽になりました。
技術に関しては、「できるまでやる」「やればできる」とマインドコントロールしたり。お客様との話の引き出しを増やすために、普段読まない雑誌を買うなど工夫していました。

―――住原さんの人生に大きな影響を与えた人物・エピソードとは?
今は講師活動がメインですが、セミナーを始める前は「私みたいな人が講師をしても良いのかな」と悩むこともありました。会話も苦手なタイプだし、技術面を言語化できるか不安だったんです。そんなとき、講師業でも活躍するアイデザイナーの山内 優香子(やまうち ゆかこ)さんに「住原さんから眉毛を習いたい。セミナーをやってみては?」と背中を押してもらいました。そのことがきっかけになり、講師業に踏み出す自信につながりました。

▷山内優香子さんについて詳しくはこちら

眉毛を美しく魅せるため、施術には複数のアイテムを活用

―――住原さん愛用の施術アイテムの中で、特におすすめのものを教えてください。

“マップブロウ”の技法で知られるアイブロウデザイナー・住原さんにインタビュー <上/ルナソル スタイリングアイゾーンコンパクトN 02 Soft Ash、下/ルナソル モデリングアイブロウライナー 01 Ash Taupe>

アイブロウパウダーのパレットは、彩度の低いアッシュブラウン系の配色です。どんなお客様にも合わせやすく、使いやすいところが気に入っています。アイブロウライナーは産毛を再現しやすい極細筆。透け感のある色味がレイヤー使いにぴったりで、眉毛1本1本を立体的に仕上げられます。しっかり濃く発色させたいときではなく、ニュアンスを出したいときに活躍するアイテムです。

“マップブロウ”の技法で知られるアイブロウデザイナー・住原さんにインタビュー <EmayMie アイブロウカラー マスカラ ブラック>

こちらは、透け感のあるブラックの色味がきれいな眉マスカラ。眉毛1本1本をナチュラルに強調するアイテムなので、少し濃さがほしいとき、毛流れを際立たせたいときに活用しています。

アイブロウデザイナーはやりがいのある仕事。“ゆるがない技術”を身に付けて業界を盛り上げていこう!

“マップブロウ”の技法で知られるアイブロウデザイナー・住原さんにインタビュー

―――施術・講師業において最もやりがいを感じる瞬間とは?
施術では“お客様がうれしそうなリアクションをされたとき”にやりがいを感じます。普段は新規の予約を停止していますが、予約枠を開放するとありがたいことに毎回争奪戦になり、一瞬で埋まるほど。新規のお客様から「やっと予約が取れた!」と言っていただけるととてもうれしいし、もっとたくさんのお客様に出会っていけたらと思います。
講師業に関しては、セミナーを通じてアイブロウデザイナーたちに技術を伝え、間接的にお客様に喜んでいただけたらうれしいです。セミナーを受けたアイブロウデザイナーさんから良い反応をいただけるとやりがいを感じます!

―――最後に、現役のアイデザイナーや未来のアイデザイナーに向けたメッセージをお願いします!
現在増えてきているSNSの活用は、“発信しやすく”“見つけてもらいやすい”もの。情報量も多く便利な一方、プロとしてきちんとした情報を発信する心掛けが欠かせません。バズらせることや上手く見せることにとらわれすぎて、「実際にサロンへ行ってみたけど何かが違う…」そんなギャップをお客様が感じるケースもあります。大切なのは、お客様が求めるスタイルの実現と、お悩みを少しでも解消すること!1人1人が技術をしっかり磨いて経験を積み、これからの美容・アイ業界をさらに盛り上げられるよう一緒に頑張っていけたらと思います。

まとめ

メイクの仕事を通じてアイブロウの可能性と魅力を実感した住原さん。“眉毛は目元をより美しく魅せるもの”と多くの人に伝えるため、セミナー活動やInstagramでの発信にこれからも尽力していくと話していただきました。より一層の広がりが予想されるアイブロウ分野での住原さんの活躍に、今後も目が離せませんね!

この記事を読んだあなたにおすすめの関連記事

2508_1Ehn

この記事をシェアする