マツエクを装着することで発生する「目のトラブル」。さまざま起こる症状の中でも、まつげの根元のかゆみは耐えがたいものですよね。また、掻いてしまうことでマツエクが取れやすくなるだけでなく、目元や眼球を傷つけてしまうこともあります。今回は、そのかゆみの原因を探り、対処法をご紹介します。

国民生活センターに報告される「目のトラブル」にはどんなものがある？

マツエクの登場により、マスカラやつけまつげしかなかった時代に比べ、目元のおしゃれの選択肢が格段に増えました。通常のメイクアップとは違い、一度装着すると長い期間楽しめるマツエクは、忙しい学生や働くママにとっても人気のある美容法ですよね！
しかし、メリットばかりではありません。ご存知のとおり、マツエクの装着が原因となる健康被害が報告されていることも事実です。では、改めてどのような「目のトラブル」があるのか、おさらいしましょう。
今回は、消費者庁が管轄する独立行政法人国民生活センターから平成27年に報告された「後を絶たない、まつ毛エクステンションの危害」という報告書の内容を詳しくみていきます。

この報告書のデータは2010年の受付開始から2015年3月31日までに報告のあった、マツエク施術による健康被害報告をまとめたものです。健康被害のあった総数は599件でした。「目のトラブル」には、どのような症状があったのでしょうか。

異変や違和感の内容

こちらは目の健康被害を受けた人から聞いた、異変や違和感の内容を図にまとめたものです。回答人数は250人、複数回答でアンケートを取っています。

画像引用：独立行政法人国民生活センター

報告書によると、「目の痛みや異物感」を訴えた人が一番多いという結果でした。続いて、「目やまぶたのかゆみ」や「目の充血」、「まぶたの腫れ・湿疹・かぶれ」、「目の乾燥」という症状が上位にあがっています。実際に日々の業務の中でも、これらの症状を訴えるお客様の対応にあたるというケースもあるのではないでしょうか？
では、トップ5に入るこれらの症状は、何が原因で引き起こされているのでしょうか？

代表的な「目のトラブル」の症状解説

先ほどの図をさらに深く読み解くポイントの一つが、アンケート調査が複数回答方式で行われているという点です。一人が複数の症状を訴えている場合があるので、例えば…「目が痛くて、かゆくて、充血している」という場合はアンケートの上位3つにそれぞれカウントされます。これは一つの原因に対して一つの症状があるのではなく、一つの原因に対して複数の症状が現れている場合があることを示しています。代表的なこれらの症状は、主にアレルギーやドライアイ、ものもらいなどの眼病、まつげダニなどが原因で引き起こされると考えられます。ではさっそく、原因別に現れる症状を解説していきます。

【原因①】アレルギー

マツエクによるアレルギーの主な原因は、グルーの主成分であるシアノアクリレートが硬化するときに発生するホルムアルデヒドと言われています。他にも、グルーに含まれるアクリル系樹脂やラテックス、カーボンブラックもアレルゲンとなる場合もあります。さらに、花粉やハウスダスト、ダニやペットなどに対してアレルギーがある人ほど、グルーへのアレルギー反応が強く出ることも。アレルゲンにはさまざまなものがありますが、主なアレルギー症状は、以下のとおりです。

 

▼マツエクによるアレルギーについて詳しく解説している過去記事もぜひ参照ください！

【原因②】ドライアイ

ご存知のとおり涙は涙腺から分泌され、目の表面を潤す働きがあります。ドライアイは、涙が出にくくなったり、涙の質が変化して目を潤す力が弱くなったりすることにより起こります。日本では1000万人もの患者がいると言われる身近な疾患の一つです。ドライアイの主な症状は以下のとおりです。

【原因③】ものもらいなどの眼病

まぶたが赤く腫れる状態を、俗に「ものもらい」と言いますが、医学的には麦粒腫（ばくりゅうしゅ）や霰粒腫（さんりゅうしゅ）と呼ばれる眼病の一種のことを指します。麦粒腫の主な原因は、黄色ブドウ球菌や表皮ブドウ球菌などのごくありふれた細菌です。それに対して霰粒腫はまぶたの縁にある皮脂腺が詰まることにより起こる眼病で、細菌感染が原因ではありません。しかし霰粒腫の症状が悪化し炎症が起こると、麦粒腫に似た以下のような症状がみられることがあります。

【原因④】まつげダニ

通称まつげダニと呼ばれるのは、「デモデックス」というニキビタニの一種です。通常は顔の余分な皮脂などをエサにして生きています。ただ、目の周辺にダニが大量繁殖すると粘膜を刺激し、炎症を引き起こしてしまうことがあります。まつげダニのエサは、目元の皮脂やメイクの汚れなどです。まつげダニが繁殖していても、全く自覚症状のない人もいますが、以下のような症状が見られる場合もあります。

以上、代表的な目のトラブルを引き起こす原因を4つあげ、その症状を解説しました。それぞれ原因は違っても、同じような症状が現れることがわかりましたね。特にマツエクを楽しむ上で困る症状の一つが「目のかゆみ」ではないでしょうか？まつげの根元を掻いてしまうと接着力が弱まり、エクステが取れてしまう原因にもなります。そのため、事前にかゆくなった場合の対策を練り、掻いてしまわないよう対処することが重要です。

根元がかゆくなった場合の対策・対処法

マツエクのモチをよくするためにも「掻くこと」は厳禁！と理解はしていても、かゆみを我慢するのって辛いものですよね。しかし、原因に合わせた正しい対処法を知っていることで、掻くことを未然に防ぐことができるかもしれません。対処法を知っていれば、お客様への的確なアドバイスもできるでしょう。それでは、パターン別の対策や対処法を紹介していきます！

【原因①】アレルギーへの対策と対処法

まず現れている症状がアレルギーによるものか判断しかねる場合は、迷わず眼科専門医を受診しましょう。もしも、症状が現れたのが施術中であれば、すぐに施術を中止してください。
アレルゲンが判明している場合は、アレルゲンを寄せ付けないよう対策を取りましょう。一度アレルギー反応が起きてしまうと、強いかゆみが出る場合がありますが、目を傷つける可能性があるので掻いたり擦ったりするのはNGです。以下の対処法で症状を和らげることができます。

【原因②】ドライアイへの対策と対処法

ドライアイも専門的な治療が効果的な疾患なので、眼科専門医を受診してください。
ドライアイにならないためには、普段から目が乾きにくい生活を心掛けることが大切です。具体的には、目の乾燥やかゆみを感じたときには、パソコンやエアコン、コンタクトレンズの使用控えることで、ドライアイの症状が軽減すると言われています。
セフルケアとしておすすめなのは、ドラッグストアなどで販売されているドライアイ用のヒアルロン酸目薬などを点眼すること。目を使わずしっかりと休めることも効果的です。

【原因③】ものもらいなどの眼病への対策と対処法

ものもらいに関しても自己判断をせず、眼科専門医を受診しましょう。ものもらいへの対策は、目を擦ったりかいたりしないこと、また目元を清潔に保つこと！もしも、ものもらいができてしまった場合のセルフケアとしては、ものもらい用の点眼薬を使うこともおすすめです。

【原因④】まつげダニへの対策と対処法

まつげダニの大量繁殖を防ぐためには、目元を清潔に保つことが大変重要です。その理由は、先ほど勉強したように、目元の皮脂やメイク汚れなどをエサにしているためです。
症状が気になったときは、まず眼科専門医を受診することが一番確実！病院では、まつげダニ専用のシャンプーが処方され、治療が行われるようです。
まつげダニへの対策としては、市販のまつげダニ用アイシャンプーを使ったセルフケアが有効です。また、アイシャンプーを使うことでまつげダニの繁殖を防ぐこともできます。アイシャンプーの有用性については過去記事にまとめていますので、参考にしてください。
それではさっそく、洗顔方法の一例をご紹介します。

▼マツエク対応のクレンジング剤についてまとめた過去記事です。ぜひ、参考にしてください。

まつげの目元にかゆみを引き起こす原因別に、その対策と対処法をご紹介しました。
特に、まつげダニの繁殖防止や繁殖後の駆除にまつげダニ専用のアイシャンプーが有効であることがわかりましたね。さらに目元を清潔にすることは、アレルゲンの除去やものもらいの防止などにも大変効果的です！ぜひ、お客様にも「目のトラブル」への対策や対処法を提案できるアイリストを目指してくださいね！

まとめ

お客様からの「かゆみ」の相談は、SOSだと思ってすぐに病院受診をおすすめするのが正しい対応。しかし、いざというとき「目のトラブル」にしっかりと対応できる知識を備えたアイリストでありたいですよね！今回は、目元のトラブルにどのような症状があるのかをおさらいし、さらに「目元のかゆみ」にスポットを当てて勉強してきました。かゆみを感じたときに掻かずに済む対処法を知っておくことが大切ですね！180818Euk