【Beautéの病理解説シリーズ】「角膜炎」について詳しく学ぼう

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「マツエクが原因で“角膜炎”になってしまった。」という話を一度は聞いたことがあるのではないでしょうか?“角膜炎”…よく聞くけれど、その詳細まではわからないというアイリストも多いかもしれませんね。今回はBeautéの病理解説シリーズとして角膜炎についてまとめました。一緒に知識を深めましょう!

「角膜炎」の原因・症状とは

角膜炎は、その名のとおり“角膜”に起きた炎症のことです。角膜炎についての説明に入る前に、まずは“角膜”について簡単に触れておきましょう。

角膜の役割とは

出典元:参天製薬ウェブ・サイト 目の情報ポータル 目の構造とはたらき

上記の画像は、ヒトの目の垂直断面図です。平たくいうと目を頭から地面に向かって縦方向に真っ二つにした断面図。イラストを見てわかるとおり、角膜は眼球の一番外側にあるドーム型をした膜です。一般的には「くろめ」と呼ばれています。

5層の透明な組織から構成されており、視覚情報、つまり“光”の入り口となる大切な組織です。目で“ものを見る”しくみは、この角膜を通過した光が目の中に入ることからはじまります。また角膜はヒトの体の中で唯一“透明”な美しい組織なのだそうです。

光をしっかりと目の中に取り入れるため、角膜は常に透明性を保つ必要があります。そのため新陳代謝が活発で、修復力が非常に高いという特徴を持っています。
また角膜には知覚神経が張りめぐらされており、少しの傷が入っただけでも強い痛みを感じることで目を防御しています。さらに角膜の最表面は涙におおわれており、外界の刺激や病原体の侵入を防ぐバリアとしての役割も担っているのです。

角膜の特徴

透明な組織の構造を守るため、敏感かつ繊細!

外界の刺激や病原体の侵入を防ぐ大切なバリア!

角膜炎はどのような病気?

角膜は目の一番外側にある組織であるため、外的な刺激により角膜表面に傷が入ることがあります。前述のとおり角膜は大変敏感なので、傷ができると強い痛みを感じ、涙が出るなどの症状がみられますが、角膜の修復能力により短期間で治ることがほとんどです。
しかし、傷が完全に治るまではバリア機能が低下した状態が続きます。このように角膜のバリア機能が壊れた場所などから、細菌やウイルスなどが侵入し、角膜炎が起こります。

角膜炎の代表的な症状は以下のとおりです。

  • 目が痛む
  • しろめが赤くなる
  • 涙がほろほろ出る
  • まぶたがはれる
  • 角膜が白くにごるなど

さらに角膜炎・角膜感染症は、原因により主に4つの種類に分類されます。

細菌性角膜炎

角膜の表面に付いた傷から細菌が侵入して起こります。ゴミなどの異物や、コンタクトレンズの装用で傷が付き発症します。原因となる細菌は、常在菌(常に皮膚に存在する菌)である「黄色ブドウ球菌」である場合が多く、ほかにも外部から感染する「レンサ球菌」や「緑膿菌」などがあります。
またマツエクによる角膜炎のほとんどは細菌性角膜炎と言われています。

真菌(カビ)性角膜炎

真菌(カビ)によって炎症を起こした状態です。コンタクトレンズの連続装用や植物などによる傷などにより発症します。カビの一種である真菌にも常在菌は存在します。しかし角膜炎の原因となるのは、植物の表面や土壌に多く生息している「フザリウム」などが比較的感染頻度の高い真菌としてあげられます。

角膜ヘルペス

もともと体の中に持っているヘルペスウイルスが、疲れやストレスなどをきっかけに角膜で活動を再開することで発症します。

アカントアメーバ角膜炎

湖や川などの淡水にいるアメーバによって起こる角膜炎です。手入れが不十分なカラーコンタクトレンズなどでもアメーバが増殖することがあります。近年、アメーバに汚染されたコンタクトレンズを使用することで、角膜感染するケースが多く見られます。

角膜炎をくり返すと、透明なはずの角膜がにごってしまい、視力障害が残る場合があります。症状がみられた場合には、自己判断はせず早期のうちに専門医による適切な治療を受けることが重要です。

マツエクと角膜炎の関係とは?

ヒトの目の垂直断面図を見るとわかるとおり、まつげと角膜は非常に近い位置にありますよね。まつげには、目にゴミやホコリなどの異物が入ることを防ぐはたらきがあるため、角膜の近くに生えていることは当然のことといえます。しかしマツエクをしている場合は、この距離感が逆効果となってしまう場合があります。

ご存知の通りマツエクにとって摩擦は大敵です。目元を触ったり、擦ったりすることによりグルーの接着力が低下し、マツエクのモチが悪くなってしまうためです。さらに問題なのは、目元を擦ることにより、エクステの根元部分が自まつげからはがれやすくなること。なぜなら取れかかったエクステの根元が、角膜を傷付けてしまう可能性があるためです。
また、マツエクの向きがバラバラになっている状態も角膜にとってはよくありません。眼球の方向に向いてしまったエクステが、角膜を傷付けることがあるためです。とはいえ、エクステにより角膜に傷が入ったとしても通常であれば角膜の高い修復能力により、すぐに傷が癒えるため大きな問題とはなりません。

しかし以下のような状態が続くと、角膜に入った傷から細菌などが感染し炎症を引き起こしてしまう可能性があります。

  • 目元が不衛生である状況が続いている
  • 目元を擦ったり、触ったりするクセがあり角膜に多数の傷が入っている
  • 疲れやストレスなどがあるなど

マツエクは基本的には安心・安全に楽しむことができる美容法です。しかし取れかかったエクステなどが角膜を傷付け角膜炎に発展する可能性もあるということがわかりました。
では、どうすれば角膜炎の発症を予防することができるのでしょうか?

▼こちらも参考にしてください。

角膜炎にならないためにできること

角膜炎を防ぐためのヒントは、これまでに学んだ角膜炎についての知識の中に隠されています。角膜炎にならないためのポイントを順序立ててご紹介します。

ステップ1:角膜に傷を付けない

角膜炎は角膜に傷が入らなければ発症することはありません。そのため角膜に傷が入らないよう気を付けることが大前提です。
マツエクを擦らない・触らない・取れかけたエクステを長期間放置しないことが大切です。

ステップ2:サロンでマツエクの状態を整える

取れかかったエクステは、角膜を傷付ける可能性があり大変危険です。とはいえ、取れかかったエクステをセルフオフすることもまた危険な行為といえます。
そのためマツエクの継続を希望する場合は、定期的にリペアや付け替えを行いましょう。またバラバラになったエクステを放置することで角膜炎のリスクが高くなるため、マツエクの継続を希望しない場合にもアイサロンでオフをしてもらうことをおすすめします。

▼セルフオフやセルフマツエクの危険性についてまとめたこちらの過去記事もぜひ参考にしてください。

ステップ3:正しいセルフケアで目元を清潔に保つ

たとえ角膜に傷が入ってしまっても、目元が清潔に保たれていれば細菌感染を防ぐことができるでしょう。そのためには日々のセルフケアを正しく行うことが大切です。
マツエクに適したクレンジングや洗顔フォームを使用し、メイクや皮脂汚れが目元に残らないようやさしくケアしましょう。さらにアイシャンプーは目にしみにくい成分で作られており、抗炎症成分が配合されているアイテムもあるためおすすめです。

▼正しいマツエクホームケアの方法やアイシャンプーについてまとめた過去記事も参考にしてください。

ステップ4:異常を感じたら迷わず眼科を受診する

角膜炎は、早期の治療により症状を抑えることができます。しかし無治療のまま時間が経過すると、角膜炎が重症化し失明などに至る場合もある恐ろしい病気です。

  • 目のゴロゴロ感やまぶしさなどを感じるとき
  • 強い充血や目の痛みがあるとき
  • 大量の目やにが出るなど

上記のような症状が現れた場合には、なるべく早く眼科を受診しましょう!

ポイント

マツエクに対する理想的なケアが角膜炎の発症を防ぐ!

まとめ

今回は、マツエクが原因で起こり得る病気のひとつ“角膜炎”について学びました。角膜炎を起こさないためには、目元を擦らないことや清潔に保つことなどが重要です。そのためマツエクのモチをよくするために正しいホームケアを行うことは、角膜炎の発症防ぐことにも繋がります。「目を最前線で守ってくれている角膜」ですから、大切にしたいですよね。お客様に聞かれても、あたふたせず、目の構造や角膜炎の原因や対策について明確に答えられる知識を持っておきましょう。181202Euk

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