「安全性の高いグルー」ってどんなもの?

この記事をシェアする

まつげの際というのは、粘膜に近い分、とてもデリケートな部分。マツエクによるトラブルを防ぐためにも、グルーの安全性は無視できないですよね。今回は、アイリストの必須アイテムであるグルーについて、安全性の面から注目してみました。「安全性の高いグルー」を選ぶにはどんなことに気をつければいいのか、基本をおさらいしてみましょう。

グルーの主成分、「シアノアクリレート」ってなに?

マツエクで使用するグルーは、ほぼ100%が「シアノアクリレート」という成分で構成されています。シアノアクリレートとは有機化合物の一種で、強力かつ速乾性のある接着剤のひとつ。空気中や接着対象物に含まれるほんのわずかな水分と反応することで、硬化して接着する性質を持っています。つまり、マツエクというのは、このシアノアクリレートの性質を利用して生まれた技術となりますね。

シアノアクリレートは性質の違いから、工業用、医療用、家庭用などの用途別に、5種類に分類されます。その中で主にグルーに使われるものは、「エチルシアノアクリレート」と「ブチルシアノアクリレート」の2種類。それ以外の3種類は、持続力が低く、原価も高いため、マツエクには不向きとされています。
5種類の特性や用途については、モチの9割は「グルー選定」の時点で決まっている!? プロに聞くグルーの選び方とはで、解説しています。

マツエクのグルーには欠かせないシアノアクリレートではありますが、実は厄介なデメリットも持つ成分。シアノアクリレートは、硬化する際に「ホルムアルデヒド」という有毒ガスを放出する性質があり、このガスによって目がしみたり、痛みが出たり、アレルギーが起きたりするお客様もいます。中には、頭痛やめまいなど「シックハウス症候群」のような症状が起こることもあるため、アイリストにとっては常に注意しておかなくてはならない成分ともいえるでしょう。できることなら、マツエクの仕上がりの質は落とすことなく、害の無いグルーを揃えておきたいものです。そのような理想的なグルーは、果たして存在するのでしょうか?

完全に無害なグルーは存在するか

グルーの主成分であるシアノアクリレートは、マツエクにとって欠かせないものであると同時に、有害な成分を放出してしまう悩ましい存在。このシアノクリレートがグルーの主成分である限り、現時点で完全に無害なグルーというのは存在しません。さらに、グルーにはシアノアクリレート以外にも、増粘剤(アクリル樹脂)や着色剤(カーボン、アンスラキノン系着色剤)、安定剤(ヒドロキノン、ヒドロキシアニソールなど)、柔軟性成分(ラテックス)といったさまざまな含有成分があります。この中でも、ラテックスはアナフィラキシーなどの重度のゴムアレルギーを引き起こす可能性がある成分。あまりにもリスクの高い成分のため、ラテックスを含むグルーは日本国内ではほぼ流通してはいませんが、確実にないとは言い切れないのも事実です。
以上のような背景から、グルーの持つ危険性は、シアノアクリレートによるものだけではなく、さまざまな可能性をはらんでいることも理解しておかなくてはなりません。

ただ、アイリストとして、グルーのリスクをできる限り軽減することは、常に念頭に置いておかなくてはならないですよね。害の少ないグルーを追求することも必要ですが、万が一お客様の体調に異変が見られたとき、速やかに対応できるよう対処法を知っておくことも重要です。

グルートラブルの応急処置

・目に入ったとき
グルーが目に入ったときの対処法としては、15分以上、目を流水で洗い流すという方法が一般的。ただ、お客様の目元がしっかりと見える状態で施術をするサロンでは、極めて発生する確率は低いといっていいでしょう。万が一、発生してしまった場合には、目をこすることは厳禁。お客様に事情を説明したうえで、目を洗い流させてもらい、速やかに眼科を受診することをおすすめしましょう。

・皮膚に付着したとき
無理にとろうとしてはいけません。ぬるま湯の中で、ゆっくりと揉みほぐしながら洗うようにしましょう。または、専用剥がし液やアセトンを使って剥がす方法もあります。その際は、皮膚に剥がし液やアセトンが残らないようにしっかりと拭取るようにしてください。リムーバーを使うことは、さらなる刺激となってしまうことがあるため、絶対に使ってはいけません。

・吸い込んだとき
めまい、吐き気、気分が悪くなるなどの異変が見られたときは、ただちに新鮮な空気の場所に移動しましょう。

お客様の中には、グルーの危険性について不安を感じて、
「このお店のグルーにラテックスは含まれていませんよね?」
「肌が弱いのでグルーによるアレルギーが起こらないか心配なのですが、グルーの成分は安全でしょうか?」
と、問い合わせをされる方もいるかもしれません。グルーの安全性をお客様に示すためには、どのようなものを準備しておけばいいのでしょうか。

実は、グルーは薬事法で「雑貨」という位置づけになっているため、化粧品のように配合成分の表記義務がありません。グルーに配合されている全成分について知りたい場合は、メーカー側に安全データシート(略称:SDS)の提示を求めることもできます。
次は、そのSDSについて解説しましょう。

SDSって全てのグルーについているの?

SDSというのは、「有害性のリスクをはらむ化学物質が配合されている製品について、その取扱い方や性質について提供すること」を目的とした資料のことをいいます。ただ、この資料を用意するかどうかは任意のため、全ての製品にあらかじめつけられているものではありません。もし用意されている場合は、メーカー側から取り寄せることが可能です。これは裏を返せば、SDSを用意しているメーカーの製品は配合成分の安全性に自信がある、つまり信頼できるとも判断できますね。SDSの提示を断られた場合は、その製品には表記できない危険な成分が含まれている可能性が高いということになります。安全性の高いグルーを探す際の、ひとつの基準として考えるといいでしょう。
※参考:今更聞けないグルーの内容成分って?? 安全性を確認する「SDS」って何?

まとめ

グルーの安全性を軽視すると、重大なトラブルを起こす可能性も高くなります。完全に無害なグルーが存在しない以上、お客様に安全に施術を受けてもらえるかは、アイリストの技術と知識、どんな異変にも気づける気配りにかかっています。安全なグルーの重要性について、今一度考えてみてくださいね。

この記事を読んだあなたにおすすめの関連記事

この記事をシェアする