今さら聞けない!『生産性』って何?考え方や平均を解説!!

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「生産性を意識しましょう!」とよく聞くけれど、実はよくわからない…でも今さら聞けない!という人も多いのでは?アイリストが必ず直面する「生産性」という言葉。しっかり考え方を理解して、人にも説明できるようにしておきましょう。

「生産性」って?「ベッド生産性」と「スタッフ生産性」の違いとは

生産性とは、営業時間や勤務時間に対して、どれだけ効率よく成果が出ているのかを判断する指標のこと。一般企業や他の美容サロンでも使われる用語です。マツエクサロンの場合、ベッド生産性とスタッフ生産性の2つに分けられます。それぞれについて詳しく見ていきましょう。

【ベッド生産性】:ベッドやソファを用意して施術を行うマツエク。ベッド生産性とは、1つのベッドから生まれる売上を指します。設備生産性というケースもあります。

【スタッフ生産性】:スタッフ生産性は、スタッフ1人当たりの売上を指します。

では、「生産性が高い」とはどういった状況を意味するのでしょうか。ここから、実例を交えて勉強していきましょう。

アイラッシュ業界の生産性実例

店長以上となると、経営の観点から生産性を意識する必要が出てきますよね。5つのベッドを持ち、1時間でリペア120本の施術ができるサロンAを例に挙げてみます。

まず、サロンAにおけるベッド生産性について見ていきましょう。

 

【ベッド生産性】
営業時間は9時~20時までの11時間。予約がどれだけ詰まっていたとしても、ベッド周りの清掃やメンテナンスにかかる時間を除くと10時間の稼働が限度と考えられます。お店全体での平均単価は5,000円です。計算式は、

平均時間単価5,000円×稼働10時間×営業日数30日

とします。結果、サロンAのベッド生産性は月150万円が最大と言えるでしょう。

しかし問題は、営業時間に対してどれだけベッドが稼働しているのか(「稼働時間・稼働率」がどの程度か)という点。常にすべてのベッドが埋まっていれば理想ですが、予約の関係やスタッフの人数などにより空白の時間もあることが想定されます。

「ベッド生産性」は、ベッドの稼働している時間・もしくは稼働率を掛けることで導き出されます。

お店全体の時間単価(5,000円)×1ベッド当たりの稼働率(70%)×営業時間(10時間)×営業日数(30日)=105万円

これを、このサロンAのベッド生産性の目安にすると良さそうです。

 

【スタッフ生産性】
次にアイリスト個人に求められる、スタッフ生産性についてもご紹介します。次に挙げる、同じサロンで働く2人のアイリストを比較してみましょう。

◆ベテランアイリスト田中さん◆

・月に22日勤務
・現在の平均単価は6,500円
・1日平均施術人数は6人
・指名率が高く、オプション施術も好調。
 ⇒客単価6,500円×施術人数6人×勤務日数22日=月85万円の売上が平均。

 

◆新人アイリスト伊藤さん◆

・月に22日勤務
・平均単価は5,000円。
・1日の平均施術人数は5人(施術に時間がかかるため)
 
⇒客単価5,000円×施術人数5人×勤務日数22日=月55万円の売上が平均。

 

田中さんと伊藤さんの差は、月におよそ30万円。年間に換算すると360万円の差が生まれます。サロンの経営者からすれば、その差は大きく感じることでしょう。だからこそ、アイリストには生産性を意識することが求められるのです。

また、今回は技術的な個人差からスタッフ間における生産性の差が発生しましたが、もしサロンで働くスタッフ全員の平均値が伊藤さんのレベルだった場合はどうでしょうか。実は、アイリストの平均売上はベッド生産性に影響します。

もし全員が伊藤さんレベルの売上しか上げられなかった場合、

平均売上55万円×スタッフ数7人÷ベッド数5台=ベッド生産性77万円となってしまいます。

さきほどサロンAの目安として紹介したベッド生産性数値は、105万円。月に28万円ほど下回り、年間に換算すると336万円の差が発生することとなります。店長以上の立場にある人は、その差を縮める努力が求められるでしょう。
たとえば、アイリストの勤務時間の変更や新規雇用などを行いつつ、アイリストの技術向上を促し、ベッドの稼働率を上げること。さらに、客数についても、どの程度増やす必要がありどのような施策が打ち出せるのか、などについて考える必要がありそうです。

 

『ベッド生産性』と『スタッフ生産性』、一番の違い

スタッフ生産性は個人に紐づくため、1人当たりがどれだけの生産性を持つか、という売上指標ですが、ベッド生産性はシフト制などで1つのベッドに対して何名かが施術に入ることも想定できます。そのため、実際に「ベッドが稼働した時間」と「お店の平均単価」が重要となります。ベッド生産性は個人に紐づくものではない、というところが注意が必要な点です。
仮にスタッフの数がベッドの数よりも少ない場合、あまりベッド生産性は意味をなさない指標となるでしょう。スタッフの数がベッドの数よりも多く、早番・遅番の入れ替わりがある場合などに有効な指標となると考えるといいかもしれません。

「生産性」を上げるためにできること

では、生産性とはどのように上げるのでしょうか。実際に繁忙サロンで勤務する店長に話を聞いてみました。

1.施術スピードを上げる
スタッフ1人ひとりの施術スピードも、生産性に大きく影響してきます。例えばベテランアイリストだと30分で終わる施術内容でも、新人アイリストの場合1時間かかる場合があるでしょう。1日の勤務だけでも、その差は4時間に上ります。4時間あれば、追加で2人程度の施術が可能かもしれません。そのため、数分ずつでも差を縮めることが、新人アイリストには求められています。

しかし、スピードを意識するあまり雑な施術をしてしまうと、お客さまが離れていく可能性も。丁寧な仕上がりは維持しつつ、施術スピードを上げるよう意識してみてください。

2.客単価を上げる
いくらベテランアイリストでも、1日の施術可能人数には限りがあります。1日6人前後が目安でしょう。その中でさらに生産性を上げるためには、客単価を意識する必要があります。アイパックやマッサージなどのオプションをおすすめできていますか?さらに、カラーエクステを提案してみても良いでしょう。

ただし、客単価を上げるために下まつげの施術をおすすめすることは、あまりオススメできません。一見、上まつげへの施術の延長のように感じられますが、下まつげへの施術は時間がかかります。たとえ施術総額が増えたとしても、かかる時間が長ければ客単価は下がってしまうのです。施術時間を大きく変えず、かつ客単価を上げられるようなメニューの提案も、アイリストには必要です。

3.すき間時間が空かないように予約を入れる
複数のアイリストが在籍しているサロンの場合、施術時間の間に空白が開かないような予約の取り方も大切です。たとえば、9時~10時半までの予約が入っているAさんに対し、次の予約を11時から取ってしまうと30分の空白時間が発生してしまいます。3人目も同じ予約の取り方をすると、さらに30分の空白が発生。休憩時間とは別に、1時間の空白時間が発生してしまうのです。その1時間があれば、さらに生産性が上げられることを考えると、少しもったいないですよね。

また、多くのサロンではアイリストへの指名制度を設けていますが、稼働率の観点では指名制度をなくす方が良い場合もあるようです。指名制の場合、固定客がついているアイリストにばかり予約が集中する可能性があります。しかし残念ながら、マツエクの施術はマンツーマン。1人のアイリストに対して、複数の予約を受け付けられないのです。人気のアイリストは予約をお断りするほど忙しい反面、他のアイリストには予約がまばらで手が空いてしまう状況もあるでしょう。全アイリストがまんべんなく施術に入れるシステムの方が、サロン内での稼働率は上がると言えます。
稼働率が高くなることと生産性が向上することはかならずしもイコールではありませんが、深く関係しています。指名制度によるリピート率向上によって一人当たりのスタッフ生産性を上げるか、お店全体での稼働率を高めることによってベッド生産性を上げるか。

店長がサロンをマネジメントする際にはこのあたりを誤認しないようにし、お店の方針と合わせて指標を使い分けしていきたいですね。

まとめ

「生産性が高い」状態について理解してもらえたでしょうか?店長以上の場合はお店全体のベッド生産性を、そしてアイリスト自身にはスタッフ生産性を意識してもらいたいと思います。生産性の高いサロンの場合、スタッフ6人とベッド5台を稼働した状態で月に600万円売り上げたこともあるようです。具体的な数値を意識すると、日々の動きにも変化が生まれるかもしれませんね。より高い生産性を目指し、日々の施術に当たりましょう。

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