安全な施術のために!グルーに含まれる成分が肌に与える影響を知ろう

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グルーによって引き起こされるトラブルといえば、“揮発成分によるアレルギー反応”を思い浮かべる人が多いのではないでしょうか。しかし実は、グルーの揮発成分によって肌がダメージを受け、アレルギー以外にもさまざまな症状が引き起こされる恐れもあるんです。そこで今回は、グルーに含まれる成分が肌に与える影響やその対策をまとめました。

【おさらい】揮発したシアノアクリレートについて

ご存知のとおり、マツエク用グルーの主成分はシアノアクリレートという物質です。身近なものでは、瞬間接着剤の主成分としても用いられており、モノとモノを瞬時に、そして強力に接着することができます。接着するといっても、“くっつけている”のではなく、シアノアクリレートが強力に固まった(硬化した)結果、モノ同士が“くっついている”というイメージです。

具体的に解説すると…液体のシアノアクリレートは空気中やモノの表面にある水分に触れると、重合(じゅうごう)と呼ばれる化学反応が起き、硬化がスタートします。硬化する過程において、シアノアクリレート本体にとどまりきれなかった成分が空気中に蒸発。すると、非常に微量のシアノアクリレートの蒸気(揮発成分)が生成されることがあります

「でも…毎日グルーを扱っているのに、蒸気が出るのを見たことがない。」と疑問に思う人もいるでしょう。
それもそのはず…シアノアクリレートの蒸気は肉眼では確認することができないのです。

ところが、アノアクリレートの蒸気はときに、目に見える状態になる場合もあります。

 ※上部の画像は視認性を高めるため、グループレートにグルーを近付け、シアノアクリレートの蒸気が残留しやすい条件で撮影したものです。

例えば、施術後のグループレートに、グルーとは違う白いモヤのようなものが付着しているのを見たことはありませんか?その白いモヤの正体は、おそらくシアノアクリレートの蒸気が空気の流れの悪い場所に留まった結果、局所的に付着し白い粉をふいた状態になったもの。これと同じ現象が、お客様の肌の上でも起こる可能性は否定できません。もしシアノアクリレートの揮発成分が肌に付着すると、どのような影響があるのでしょうか。

揮発成分が肌に与える影響とは?

グルーが硬化する際に発生するシアノアクリレートの揮発成分は、ホルムアルデヒドという気体の物質です。ホルムアルデヒドの主な特徴は以下のとおり。

  • 空気より重たい
  • 水に溶けやすい
  • 刺激臭がある
  • 目や鼻などの粘膜を刺激する など

グルーが完全に硬化する前に水分や涙に触れると、ホルムアルデヒドが水に溶け出し、目や鼻を刺激する恐れがあります。また化学物質に過敏な方の場合、ホルムアルデヒドによるアレルギーを発症するケースも。いわゆる、グルーアレルギーです。
水に溶け出したホルムアルデヒドが体に悪影響を及ぼすことはわかりました。では、続いて本題の肌にホルムアルデヒドが付着した場合の影響を考えてみましょう。

グルー硬化時に発生するホルムアルデヒドの量はごく微量。そのうち、肌の上に残ってしまうホルムアルデヒドは、更にわずかな量です。よって、肌への影響はほとんどないと考えられます。しかしホルムアルデヒドは刺激性の高い物質であるため、肌が敏感な方の場合には何らかの症状が現れる可能性も否定できません

例えば、マツエクの施術を受けられたお客様から“目のまわりの皮膚がかゆいorかぶれた”という連絡があったとします。このケースの場合、

  • アッパーテープ・アンダーテープの粘着剤に対するアレルギー反応
  • テープを剥がす時に物理的な刺激を受けた

目のまわりの皮膚は体の中でも特に薄く、刺激を受けやすいため、上記のどちらかが原因となることが大半です。しかし、もし以下の条件が満たされている場合には、肌に付着したシアノアクリレートの揮発成分(ホルムアルデヒド)による刺激を受けた可能性が考えられます。

  • テープを貼っていない部分に、かゆみやかぶれが生じた
  • 施術後、はじめての入浴(洗顔)をする前に症状が発生した

肌に付着したホルムアルデヒドは、入浴(洗顔)で簡単に除去することができます。そのため、“施術後、はじめての入浴(洗顔)を行う前に症状が現れた”ということは、肌に付着したホルムアルデヒドによる影響の可能性が高いということ
もちろんアイリストがお客様の肌トラブルの原因を断定することはできません。お客様からのトラブルのご連絡があった場合には、しっかりとヒアリングをし、専門の医療機関への受診をおすすめしましょう。とはいえ、シアノアクリレートの揮発成分が肌に残る可能性や肌に悪影響を及ぼす可能性を知っていることは大変重要です。

揮発成分から肌を守るための対策とは?

マツエクの施術中、お客様の顔のまわりには目に見えないシアノアクリレートの揮発成分(ホルムアルデヒド)が飛散しています。
前述のホルムアルデヒドの主な特徴でお伝えしたとおり、ホルムアルデヒドは空気より重たいです。そのうえ、施術中のお客様は仰向け状態。つまり、施術室の空気の流れが悪いと、お客様の顔のまわりに飛散していた揮発成分が顔の上に降ってきて、肌に付着してしまう可能性があるのです。では、揮発成分から肌を守るためには、どのような対策が有効なのでしょうか。

対策1:施術前に保湿クリームを塗っておく

肌が敏感なお客様の場合には、保湿クリームなどを施術前に塗っていただくと、揮発成分が直接肌に付着することを防げるので効果的。またテープを剥がす際の剥離刺激も軽減できておすすめです。

 引用元:EYELASH GARAGE

保湿クリームは、お客様が普段から使用されているものでOK!そのほか、『松風』の「まつげエクステ施術前 目元保護&保湿ケアクリーム」など、マツエク専用の保護クリームも販売されています。

対策2:テープやシートで肌を保護する

テープやシートを貼った部分は、揮発成分の肌への付着を防ぐことができます。ただしテープの場合、必要以上に広範囲に貼ることはできないため、アンダーテープ代わりに使える目元パックシートなどのオプションを追加いただくのが理想。目元パックシートなら、テープよりも広範囲に肌をカバーすることができるうえ、保湿もできて一石二鳥です!

対策3:施術中・後はブロアやエアポンプで空気を送る

シアノアクリレートの揮発成分は、空気の流れが悪いと顔の皮膚に残りやすくなります。そのためブロアやエアポンプで、顔のまわりに飛散している揮発成分を飛ばすのも効果的です。
揮発成分が肌に付着することを防ぐため、ブロアやエアポンプを使用の際にはエクステ接着部分だけでなく、顔のまわりの広い範囲にも空気を送りましょう

対策4:施術後に精製水などで肌をふき取る

肌が敏感な方の場合には施術の最後のステップとして、精製水を含ませたコットンなどで目のまわりを優しくふき取るのも良いアイデア。サッとふき取るだけで肌に付着した揮発成分を除去できる可能性が高く、その後の肌トラブルを防ぐことができるでしょう。
ただし、以下の場合には精製水で肌をふき取ったこと自体がトラブルになる可能性もあるので注意が必要。

  • 精製水でふき取った部分の肌が乾燥した
  • メイクが落ちた
  • 精製水でふき取られた理由が分からず困惑した など

揮発成分から肌を守りたい一心で行った行為でも、事前説明がないとお客様にご迷惑をおかけすることもあります。精製水でふき取るメリットを事前にお伝えし、ご希望の場合のみ実施しましょう

まとめ

グルーの主成分、シアノアクリレートの揮発成分が肌に与える影響や対策をお伝えしました。現在のところ、揮発成分が発生しないマツエク用グルーはありません。そのため揮発成分による人体への影響を認識し、さまざまな対処法を身に付けておくことはアイリストの使命といっても過言ではありません。今後もより安全な施術のために、コツコツと知識を身に付けていきましょう。

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