「自社開発」「OEM」など…商材ってどうやって作られているの?商材開発の仕組みに迫る!

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普段何気なく使用している商材。商材はどのような仕組みで開発・販売され、サロンに商品としてやってくるのかご存知でしょうか。今回は、「商材開発」の仕組みを解説します。

メーカーとディーラーとは?

商材を購入するときによく聞く二つの単語「メーカー」と「ディーラー」。なんとなく意味は分かっているけれど、これらが直接どのようにサロンやアイリストに関わるのか、までは分からないという人もいるのではないでしょうか。
今一度、この「メーカー」と「ディーラー」の意味や働きをおさらいしましょう。
まずは、商材はどのような流通をたどってサロンに届くのかを説明します。

商材メーカー

商材ディーラー

各サロン

一般的な物流はこのようなものになりますが、最近はネット通販が発達。各商材メーカーもサロン専売品をネットで購入できるサイトを用意することもあり、これをアイリストが利用すると、商材ディーラーを通さず、各サロンに商材が届く仕組みとなります。この商材購入方法は経験のあるアイリストもいるのではないでしょうか。
メーカーとディーラーの違いは、以下の点に挙げられます。

<商材メーカー>
製造者や製造業者。商材を“作る”ことがメイン
<商材ディーラー>
取り扱い者や取扱業者。商材を“売る”ことがメイン

例えば、ボーテでも幾度となくご紹介した、マツエク商材を取りそろえる「松風」や「セブンビューティー」はメーカーであり、サロンに商材の紹介や提供を行う営業マンはディーラーです。
ディーラーを介して商材をサロンに卸すと、その商材がもたらす効果やサロンにとってのメリット、どのような経緯をたどって開発に結び付いたのかといった点を、ディーラーからヒアリングできます。また、急な欠品が生じた際にも、ディーラーが商材をすぐに届けてくれるので、ディーラーを利用するメリットは高いと言えそうですね。
メーカーの中には製造も営業も行うところもあり、メーカーが直接サロンに営業をかけ、商品を卸すこともあります。そのため、すべての商材がメーカーからディーラーへ、ディーラーからサロンへというルートで届くわけではありません。
ここで注意したいことが、2点あります。

メーカーから直接購買しなければ手に入らない商材もある
ディーラーから購入した商材は、安定的な供給ができるとは限らない

先ほどから「メーカーは作ることがメイン。しかし、販売もしている」ことを説明してきました。商材の中には、メーカーから直接販売のみに流通ルートを限定しているものもあり、ディーラーを介すと手に入れられない商材もあります。また、ディーラーから購入した商材はディーラーと商材の付き合いがなくなれば、商材が手に入らなくなるというケースも起こり得るのです。
「この商材ありきでサロンは成り立っている!」といったものがあれば、その商材をサロンに卸すとき、どのようなルートをたどってサロンに届いているかを把握しましょう。常に安定した供給ができるかどうか、チェックしておくことも大切です。

新規開発?OEM?商材開発のメリット・デメリット

では、サロンやアイリストが「こんな商材が欲しい!」と考えたときに、既存商品の購入以外で手に入れられる手段はあるのでしょうか。
次は、業界内で行われる商材の入手方法のうち「新規開発」「OEM製造」に注目します。
それぞれどういったものなのか、説明していきましょう。

新規開発

新規開発とは、“世の中に出回っていない商材を開発すること”。普段何気なく使っている商材にも、開発者のさまざまな思いが込められています。
・どれくらいで消費するものなのか
・どれくらい売れるのか
・購買頻度
・使用感

ひとつの商材に対するこれらの計算を、自社で話し合いを重ねて意見をまとめ、商材開発を行います。
商材開発方法を分類すると

①完全自社開発
②一部外部委託開発

となります。新規開発を行う場合、ほとんどのサロンが②の一部外部委託開発の手段を選ぶことでしょう。商材を生産する工場立ち上げから、製造・販売まで全て自社で行う①完全自社開発を行うサロンもありますが、とてつもない経費と年月、そして専門知識を必要とします。そのため、商材開発のどこかの過程において外部に委託し、開発を進めるサロンが多い印象です。
とはいえ、開発の一部を外部委託し、他業者の力を借りたとしても深い業界知識や消費者(この場合はアイリストやお客さま)ニーズの把握が必要。開発費用も全て自社で完結させるため、多額の出資を覚悟しなければなりません。
こうして開発された商材は自社サロンで使用することが主ですが、自社だけの使用にとどめず商品化して流通ルートに乗せ、販売することもあります。その場合は特許をとり、開発権を所有するところもあるようです。

OEM製造

OEMとは、「オリジナル・エクイップメント・マニュファクチャリング」の略語。直訳すると“商材メーカーの力を借りて商材を製造すること”がOEM製造です。
例えば、とても気に入っている既存の商材があった場合、これをサロンに安く卸したいと考えますよね。そして、その既存商材が施術にも合っていてお客さまからも好評の場合、「新しく作ろう=新規開発をしよう」とは思わないはずです。そこで、OEM製造という手段を講じてサロンに商材を卸します。
商材を取り扱うメーカーの中には、既存商材のラベルをサロンが希望するものに取り換えて販売するパッケージを用意しているところがあります。これを利用すると、とても気に入っている既存商材を、自身が望むサロンラベルで使用することが可能です。
後に説明しますが、OEM製造は新規開発で商品を手に入れるよりも、開発期間・開発コストがかからず、手軽に商品をサロンに卸すことができます。そのため、特別にサロンやアイリストのこだわりがなくても良い商材、既に売られているものを超えられないと思う商材に関しては、OEM製造で手に入れるのが賢い方法です。

新規開発とOEM製造のメリット・デメリット

新規開発とOEM製造のメリットとデメリットを説明するために、この2つを比較してみましょう。

 

新規開発

OEM製造

開発期間

数年~十数年

なし

開発コスト

商材によるが全体的に高額

なし

このように見ると、新規開発とOEM製造は全くの別物であることが分かります。それぞれのメリット・デメリットは以下の通りになります。

新規開発のメリット

開発を自社で行うため、時間もコストもかかる新規開発。しかし新規開発がなければ「業界初」の商材は生まれず、サロンの希望にぴったり即した商材が手に入りません。新規開発はこの世にない商材を生むための手段です。開発者の想いが商材にこめられ、満足の行く商材が生産できる。これこそが新規開発のメリットと言えるでしょう。

新規開発のデメリット

新規開発は開発に関わる一切を全て自社で行うため、開発期間や開発コストはこだわればこだわるほど、果てしなくかかります。OEM製造ではこの開発はOEMメーカーが行なうため期間・コストともにかかりませんが、商材がいざ手に入るまでに時間やコストがかかることがデメリットと言えそうです。

OEM製造のメリット

OEM製造のメリットは開発期間がなく、「欲しい」と思った商材がすぐに手に入ることです。そして新規開発と違い、開発コストがかかりません
また、OEM製造の説明にもあるように既に流通している商材を自身のサロンラベルや任意のラベルに変更して、サロンに卸せます。気に入っている商材を自社サロンのラベル付きで使用できるため、セミオーダーといえども「オリジナル感」のある商材となるでしょう。
新規開発は世の中に出回っていない商材を開発することにメリットがありますが、OEM製造は既にある商材をメーカーやディーラーを介さないことにより、コストを抑えて手に入れられるのがメリットです。

OEM製造のデメリット

EM製造は既存商品であり、他サロンとの商材差別化が図れません。オリジナリティは自社開発に比べて低く、サロンの業態や施術に合わせた商材でもないため、使用感が特別良いというケースが少ないことがデメリットと言えるでしょう。

また、新規開発・OEM製造どちらにも言える注意しておきたい事項として、在庫を抱えるリスクが挙げられます。製造には最低限作られるロット数が決まっており、1回の発注である程度の生産数が見込めるのです。そのため、使用頻度の少ない商材やニッチなニーズを持つ商材は、在庫を所有しすぎてしまい、コストだけがかさんだという事態になりかねません。
新規開発やOEM製造で商材を手に入れる際は、在庫を抱えず商材をサロンで使い切れるか、もし有り余るようであれば流通ルートを確保し、販売できるかを考えましょう。

商材開発の2つの手段、それぞれのメリット・デメリットをご紹介しました。
では、さらに商材知識を深めてみましょう。次は「新商材」や「新商品」がどうやって生まれるのかを考えていきます。

新商材・新商品はこうして生まれる!

新商材・新商品は突然業界に発生するわけではありません。ひとつひとつ開発が成され、製造されて商品化となります。その原点は何かを考えていきましょう。
たとえば、業界新技術である「フラットラッシュ」。以前、ボーテでもフラットラッシュについてご紹介しました。

このフラットラッシュは、毛質の種類のこと。従来のシングルラッシュに比べて平たい(フラット)構造を持つ毛質のことをこう呼びます。
フラットラッシュが開発された経緯には以下の点が挙げられます。

・お客さまからの要望
・アイリストの要望
・費用対効果

特に、お客さまからの要望は商材開発において大変重要なポイント。フラットラッシュも、「モチが良くまつげの存在感をハッキリ際立たせるエクステが欲しい」というお客さまの要望により、商材開発となりました。
また、フラットの形状にはアイリストの「エクステは装着しやすいものが良い」という気持ちが込められています。
もちろん、どんなに良い商材でも購買意欲が湧かない商材=売れない商材は開発に至りません。費用対効果も含め、フラットラッシュはすべてを兼ね備えていたからこそ、開発が進み、人気の新技術商材として各サロンに導入されているのです。

新商材・新商品が生まれるきっかけは、お客さまの声や施術者の声。まつげエクステ業界は誕生して20年ほどと歴史が浅く、ネイルやリラクゼーションに比べると、未発達の部分が多い業界と言えます。

そのため、施術者ひとりひとりの意識、お客さまの声が新商材に取り入れやすく、新商材開発も早いスパンで行われているのです。
確立しきっていない業界だからこそ、誰でも開発に携わる可能性は多いにあります。
日々の業務の中で、「こんな商材があれば良いのに」、「こんな商材があればもっと回転率が上がるかもしれない、お客さまに満足していただけるかもしれない」といった感度は、常に持っておきましょう。みなさんの意識が、業界の新技術・新商材を支えています。

まとめ

商材にまつわるさまざまな知識を解説しました。業界で話題になっている商材や、普段気に留めていなかった商材まで、すべての商材にはそれぞれの開発秘話があります。
そして商材開発の根本となっているのは、アイリストやサロンの意識です。
アイリストの仕事はツール・商材ありき。
大切な商材の新たな道を切り開くのは、あなたの意欲にかかっています。180821E3s

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