スタッフのモチベーション、下がってない?心理学を使ってマネジメントに役立てるコツとは?

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生産性にも大きくかかわるモチベーション。スタッフを管理する、部下を持つ立場のアイリストは、他スタッフのやる気を出すために「みんなのモチベーションを上げたい」と考えることは多いのではないでしょうか。今回は、モチベーションを心理学的に、理論的に深掘りし、「モチベーションの上げ方」や「下がる原因」を追究します。

モチベーションって何?内発的動機づけと外発的動機づけ

スタッフリーダー店長など、部下を持つポジションにあるアイリストは「後輩のモチベーションを上げたい」と考えたことはないでしょうか?
もしかすると、「自分の働きかけでスタッフのモチベーションは上がるかも」と思うこともあるかもしれませんね。ただ、ここで考えておきたいのが「そもそもモチベーションとは」という点です。他者からの働きかけで、モチベーションを上げることは果たして可能なのでしょうか。まずは、モチベーションとは何かを説明していきますね。

モチベーションとは?
モチベーション(motivation)とは、「動機づけ」という意味の英語。人が行動を起こす要因・きっかけを意味する。

「モチベーションを上げる」というと、ポジティブで前向きなイメージを持つ人が多いかもしれません。これはその通りで、アイリストの業務に限らず、仕事全般において「モチベーションが高い」ということは、従業員が自発的に業務を遂行するなど「業績を上げるために情熱を注いでいる状態」を指します。

画像元:PRESIDENT Online

大手IT企業べイン・アンド・カンパニーとプレジデント社が合同で調査した結果によると、意欲の度合いによって社員の生産性が異なることが分かっています。会社に不満を持つ人より満足している人の方が高く、そして最も生産性が高いのは、「やる気に溢れる人=モチベーションが高い人」です。
そのため、「社員にモチベーションを高い水準で保ちつつ、仕事をしてもらいたい」というのは、経営者や人事担当者の中で非常に重要な問題。みなさんも、後輩アイリストに成果を出してもらいたいから「モチベーションを上げたい」と思うかもしれません。そこで今回のBeautéのテーマは「モチベーションを管理して業務に役立てる方法」です。
では冒頭の疑問を考えていきましょう。他者のモチベーションを上げることは可能なのか、と言えば、そうではありません。

モチベーションとは従業員一人ひとりの中に生じるもので、経営者や人事担当者が「上げなさい」と言って上がるものではありません。

引用元:モチベーションマネジメントとは?心理学で分かるモチベーション理論

では、どうやってモチベーションをマネジメントシーンで活用すれば良いのでしょうか。それには、モチベーションをもっと詳しく知る必要があります。
心理学的にモチベーション(動機づけ)を考えると、「内発的動機づけ」「外発的動機づけ」の2種類に分けることができます。それぞれを解説していきましょう。

内発的動機づけとは?

内発的動機づけとは、仕事に関する興味や関心など、従業員の内側から発されるモチベーションのこと。例えば、

「元々一重の目元がコンプレックスで、自信がなかったところをマツエクに助けてもらった。この感動をお客様にも教えたい」

このような働く理由は内発的動機づけです。また、お客様から喜ばれることや指名を受けることがやりがいと感じているアイリストも多いかもしれませんが、これも内発的動機づけに分類されます。

内発的動機づけは、仕事をすること自体が自分の目標となるため、仕事に対して高い集中力が発揮され、質の高い行動を長く続けられる特徴があります。
この内発的動機づけは、すでに自分の中で持っているというアイリストは多いかもしれませんね。しかし、前提として仕事に対する高い関心や好奇心が必要。マネジメントする側から見て、スタッフに内発的動機づけを持ってもらいたいのなら、仕事を「やらされている」のではなく「やりたい」と思わせることが重要となるのです。
スタッフ一人ひとりの意識を変える必要があるため、「こうすれば内発的動機づけが生まれる」と明確に言えないことが現実。また、どんなにマネジメントスキルを持った人が他の人に内発的動機づけを促したとしても、短期間では効果が出にくいという特徴があります。

外発的動機づけとは?

外発的動機づけは、内発的動機づけと比較して分かりやすいモチベーションです。報酬額や社内評価に対して動機づけが行われることが外発的動機づけ。シンプルに「お金が欲しいから働く」ことは外発的動機づけです。
ただし、報酬が満足に得られない場合はもちろん、一度得た報酬だけでは次第に不満が募る可能性もあります。また、他者から評価されたいという動機づけは、毎日褒められることがあるわけではない仕事のシーンにおいては日々気分が左右されることとなるため、ストレスを感じやすいのも特徴的です。
外発的動機づけを促すなら、実践方法は明確です。社内評価制度を設け、力量に応じてスタッフを評価し、相応の報酬とポジションを与えると良いでしょう。また、外発的動機づけが内発的動機づけに変わることも十分あり得ます。

このふたつの動機づけをまとめると、

内発的動機づけ…行動そのものが目的
外発的動機づけ…目的を得るために行動する

となります。

心理学的モチベーションが下がる理由とは

ここまでは、モチベーションを上げるために「モチベーションとは何か」を考えてきました。また、同時に考えておきたいのが「モチベーションが下がる理由」を取り除くことです。次は、モチベーションが下がる理由を考えていきましょう。
人それぞれモチベーションのきっかけが異なるので一概には言えませんが、心理学的に考えると下がる理由は3つあります。

目標が見えていない場合
目標が高すぎる場合
自己評価が極端に低い場合

それぞれを解説するとともに、下がる要因を取り除く方法もご紹介しましょう。

①目標が見えていない場合

目指すべき目標が見えていないと、やる気の出しようがありません。目的地が分からないまま進むことができないように、スタッフそれぞれの「着地点」を考えることは、マネジメントの大前提です。

この記事でもお伝えしたように、外発的動機づけをするために評価制度を設けるのは効果的。ですが、モチベーションが下がらないように、その評価の基準は明瞭化しておくことをおすすめします。

②目標が高すぎる場合

「サロンで一番売り上げるアイリストを目指す」など、目標が漠然としていて高すぎる場合だと、挑戦する前からモチベーションの低下により諦めてしまうケースが考えられます。
このときモチベーションが下がる理由は「達成のビジョンが見えない」ため。目標未達が続くスタッフがいることに気付いたら、「もしかするとこのスタッフにとって、目標は高すぎるのではないか」と考えることも必要です。
目標を達成しモチベーションを上げるには、

・一週間の売り上げを○○万円まで到達する
・月の売上を○○万円まで到達する

このように目標を明細化することがポイントです。

③自己評価が極端に低い場合

劣等感からくる「どうせ頑張っても無駄だ」という考え。ここでモチベーションが下がる可能性もあります。
例えば評価制度を設けて、そこからランクアップできなかったときに「どうやったら評価されるのか」と考えるのではなく、「どうせ私の働きは評価されない」と考えてしまうと成長ができず、モチベーションも下がるのです。
スタッフの元々持つ性格にもよりますが、この場合は「なぜ今回のランクアップ対象から外れたのか」という理由を具体的に本人に伝えることが大切。同時に評価の良かった点は認めて改善案を提示すると、モチベーションダウンを回避できるのではないでしょうか。

3つの理論を活かしてマネジメントに役立てよう!

最後にご紹介しておきたいのが、モチベーションを構成する

期待
公平
欲求

という3つの理論です。これも心理学と同様にモチベーションが下がる原因の対策に役立てることができます。

①期待理論

期待理論は

「モチベーション=期待×誘意性」

これを定義する理論です。分かりやすく具体例を挙げてみると、

モチベーション=ここで頑張れば社内試験に合格できるかもしれない(期待)×試験に合格すれば報酬が上がる(誘意性

となります。「これだけの成果が得られるから行動を起こす」という計算がこの理論の下には働いているのです。
ただ、ここで考えておきたいのがスタッフ一人ひとりの期待はそれぞれだということ。モチベーションを上げるためには、スタッフが何を期待しているのか、求めているのかを理解しておくことが重要となります。

②公平理論

公平理論は

「自分と他者の報酬や評価を比較し、満足・不満足を決定する」

という理論。例えば自分よりも努力を怠っており、能力的にも劣っている他者の方が、仕事で得られる報酬額が多いと不公平を感じますよね。すると、「正当な評価が得られないのなら努力するだけ無駄だ」という思考に陥り、モチベーションが下がる原因となります。
反対に、日々努力をしてサロンに貢献しているスタッフの報酬が上げられていると、「このサロンはスタッフを正当に評価している」と考えるのではないでしょうか。
ここから考えられるのは、サロンに貢献する内容と報酬の大きさは、スタッフ同士で釣り合うようにするのは大切だということ。モチベーションアップのために設けた「社内評価」の基準・判断はサロン全体から見て公平になるようにするべきです

③欲求理論

欲求理論は

従業員は「達成・権力・親和・回避」の4つの欲求を持っている

と考える理論です。この欲求の強さは人によって異なるため、どの動機が強いのかを見極めることで最適なマネジメントが行えるとされています。

達成欲求が強い人

自分の行動へ迅速なフィードバックがあるとモチベーションが上がる

権力欲求が強い人

責任を与えられる、他の人に認められることでモチベーションが上がる

親和欲求が強い人

良い人間関係を築ける環境からモチベーションが上がる

回避欲求が強い人

失敗してもリスクが少ないことを説明したり、周囲と同じ仕事を与えられることでモチベーションが上がる

このように、与える仕事やポジションによって、モチベーションが上がるという理論。この欲求は誰しも持つものなので、自分や周りのスタッフに置き換えて考えると分かりやすいかもしれませんね。

まとめ

スタッフの能力を引き出すことをも左右する「モチベーション」。部下を持つ立場になったならスタッフ一人ひとりのモチベーションはぜひ考えておきたいところです。モチベーションを高く維持できる人というのは、行動への“意味づけ”が得意な人とされています。スタッフが迷っている、モチベーション低下に悩んでいるようなら、アイリストとして働く意味や答えに導いていくことが重要なのではないでしょうか。190404E3s

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