これは怪しい…まつげダニがいそうなまつげの根元を見つけたときの対応や施術、どうすべき?

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Beautéでは以前、「【病理解説シリーズ】まつげダニ編:生態や眼病を引き起こすメカニズムを調査!」という過去記事で、目元の炎症・かゆみ・まつげの脱落などを引き起こす「まつげダニ」の危険性についてお伝えしました。肉眼で確認することは難しいまつげダニですが、まつげの根元を見て「これは怪しい……」と思ったお客様に出会った覚えのあるアイリストもいるはず。そこで今回は、まつげダニの存在が疑われる根元を見つけたときの、お客様への対応や施術内容を紹介します。しっかり理解して、サロンで活用しましょう!

まつげの根元にできるものとは?

まつげの根元にできる代表的なものには、次の3つがあるようです。

まつげの根元にできる代表的なもの

①ものもらい

一見してニキビのようなものであれば、それは「ものもらい」かもしれません。
まつげの周辺には、毛根部の脂腺や汗を分泌する汗腺、涙中の油分を分泌するマイボーム腺などがありますよね。
目元が不潔だと、毛根部や汗腺・マイボーム腺のある場所に細菌が感染。すると、まぶたに腫れや赤みが生じたり、ひどい場合は膿がたまったりして、ものもらいができるのだとか。また、細菌感染がなくても、マイボーム腺の出口が詰まり、ものもらいができることもあるようです。
毛根部・汗腺・マイボーム腺が詰まる原因としては、

汚れの洗い残しによって、分泌が滞っている
濃いメイクにより、出口が塞がれている
寝不足・疲れなどのストレスで、新陳代謝が低下している

などが考えられます。それらは、エサとなる酸化した皮脂がたまる原因にもなるため、ものもらいができると、まつげダニの繁殖を疑っても良いかもしれません。

②眼瞼縁炎(がんけんえんえん)

まず、眼瞼炎とは、まぶた(=眼瞼)にかゆみ・腫れ・発疹などの炎症が起こる病気のこと。そして、眼瞼縁炎とは、まつげの根元付近に炎症が起こる状態を指します。
ものもらいと同じで、眼瞼縁炎の種類は、毛根部・汗腺・マイボーム腺に細菌感染するものと、皮脂腺の分泌が過剰なために起こる非感染性のものとの2つ。もちろんこちらも、まつげダニが増殖する原因となります。
眼瞼縁炎の症状が進行すると、逆さまつげやまつげの脱落などにもつながるため、注意したい病気の1つです。

③根元の毛穴詰まり

まずは、こちらの画像をご覧ください。

画像元:MediProduct(メディプロダクト)

上記の画像は、左が不潔なまつげ、右が洗浄後の清潔なまつげの様子を示しています。
清潔な印象の右の画像に比べて、左の画像ではまつげの根元にポコッとした毛穴詰まりや、まつげに絡むフケのようなものも確認できますよね。
冒頭でもお伝えした通り、サイズがごく小さなまつげダニ。その存在を確認するためには、光学顕微鏡や高倍率のルーペなどが必要なほどです。しかし、「まつげダニがいるのでは?」または「これからまつげダニが大繁殖しそう!」と疑うには、まつげ周辺の様子だけで十分。
その理由は、毛穴詰まりやフケなどのいわゆる酸化した皮脂はまつげダニの大好物で、彼らが繁殖するための格好のエサ場となるためです。

詳細は過去記事にもあるので要CHECK

上記3つの中で、「①ものもらい」と「②眼瞼縁炎」は治療が必要なため、お客様へ眼科や皮膚科受診を促しましょう。
残りの「③根元の毛穴詰まり」は、アイリストがアドバイスして、改善が期待できるもの。では、汚れが毛穴に詰まっているお客様には、どのような伝え方が適切なのでしょうか?

汚れが毛穴に詰まっている方への伝え方

「まつげの根元が不潔な状態にある」と言われることは、誰にとっても決して気持ちの良いものではありませんよね。アイリストの言葉へ敏感に反応するお客様の場合は、最悪の場合激怒されて、2度とご来店いただけないことも考えられます。
しかし、アイリストとしては、まつげダニの温床となりそうな目元を放っておくわけにはいきません。そのためには、ネガティブな印象を最小限に抑え、お客様が「まつげの根元をしっかりケアしよう!」と前向きに思っていただくことが重要。
ポイントは、お客様に寄り添いながら伝えることです。
ここからはNG例とOK例に分けて、伝え方の具体例を紹介しましょう。

NG例 

「お客様、まつげの根元に汚れが詰まっています!」

    「うーん、日頃のケアがちょっと足りていないようですね……」

などの言葉を、いきなりお客様に投げかけていませんか?単刀直入な言い方では、お客様の反感を買ってしまうおそれがあります。
せっかく築き上げた信頼関係が崩れてしまったり、失客や悪い口コミにつながったりするかもしれません。
こちらの対応は、アイリストとしてはもちろんNG行為です。

OK

「クレンジングや洗顔で、何かお困りのことはありませんか?」

    「マツエクしていると、目元をできるだけ触りたくないって思いますよね」

といったクッション言葉を、会話の自然な流れで持ってくることが正解!
そうすることで、お客様はアイリストが自分の立場に寄り添ってくれていると感じるでしょう。
そして、お客様の悩みに共感したり、質問に答えたりしながら、
「ただ、お客様の目元の衛生面が心配なので、少しだけアドバイスさせていただけませんか?」
やさしく一言添えると◎!
そのあとで、まつげダニの怖さについてお伝えし、毎日のケア方法をアドバイスしましょう。気遣いが感じられて、かつ順序立った説明は、お客様が受け入れやすく、納得感も高まるはずです。
では、まつげの根元詰まりとまつげダニの関係をお伝えした後は、サロンでどのようなサポートができるのでしょうか?

サロンでできる改善や施術方法は?

最後に、まつげの根元が詰まっているお客様に対して、サロンでできる改善と施術方法について解説します。

サロンでできる改善 

クレンジング方法の指導

先ほどもお伝えしたように、不十分なクレンジングでメイク残りがあることは、毛根部・汗腺・マイボーム腺が詰まってしまう原因。それにより、酸化した皮脂が蓄積し、まつげダニが好む環境に変わってしまうのです。

  • 「マツエクに負担を掛けたくない」

と言われるお客様には、

まつげにクレンジング剤を乗せる
強すぎない力で、毛流れに沿って優しくなで洗いする
細かい部分は、綿棒でやさしくオフする

という目元のクレンジング方法を再度お伝えして、徹底していただきましょう。

▼正しいアイメイククレンジングについては、こちらの記事をチェック

アイシャンプーのおすすめ

皮脂を取り除くものは、洗顔料です。クレンジングと同じで、

「摩擦が気になって、しっかり洗顔できない」

 

    「目元をじっくり洗っていると、洗顔料が目に染みて……」

と悩まれるお客様もいるでしょう。そんな方へは、アイシャンプーの提案がおすすめです。
Beautéでもこれまでに何度か取り上げてきましたが、アイシャンプーとは目元専用の洗顔料のこと。余計な皮脂や油分をしっかり洗浄してくれる上に、涙に近い塩分濃度と弱アルカリ性のため、目に染みない優れものです。
アイシャンプーの洗浄効果を確かめてもらうためには、施術で実際に使った後でお客様に目元を確かめてもらうのも良いですね。

▼アイシャンプーについては、こちらの記事をチェック

施術方法

全オフする

お客様がリペア希望だったとしても、汚れが残りすぎている場合は、全オフがベスト!
「まつげの根元をきれいにして、状態を確認させてください」とお願いしましょう。
そして、すべて新しいエクステを装着し直します。ただし、まつげの脱落やハリ・コシの低下が見られる場合には、その日の施術は取りやめましょう。
その後しばらくは、お休み期間を設けていただく必要があるかもしれません。

装着位置を通常より離す

通常、エクステはまつげの根元から1~2mmくらいの位置に装着しますよね。しかし、根元の汚れを落とすことに苦手意識がある方へは、通常よりも+0.5~1mm離して着けると良いでしょう。
それ以上離すと、わずかに伸びただけでもデザインにバラつきが出やすくなるため注意。装着位置を離すと、まつげの根元に空間ができ、クレンジングや洗顔料が届きやすくなります。
こちらの場合は、エクステの長さを普段より短くする必要もあるでしょう。お客様にご説明をした上で行わなければ「モチが悪くなった」と思われてしまうこともあるので注意しましょう。

本数を減らす

あまりにも多くの本数を装着することで、目元の洗浄が不十分になっている方へは、装着本数を減らすことを提案しましょう。
隣り合ったエクステ同士が密着するほどの状態は、クレンジングや洗顔料がまつげの根元に届かないおそれがあるためです。また、目元の印象が変わりすぎないよう、エクステの種類やデザインの提案も必要になります。

まとめ

まつげダニがいそうなお客様の中でも、まつげの根元が毛穴詰まりを起こしている方に関しては、アイリストにもできることがあります。改善提案と施術内容の変更を、プロとして必ず行いましょう。その際は、目元の状況を伝える前に、お客様の悩みや立場に寄り添う姿勢が大切。かならずクッション言葉を置いてから、目元の状態やまつげダニの説明、アドバイスに入りましょう。
サロンでは、クレンジング方法やアイシャンプーについて丁寧に説明します。また、施術では、全オフや、装着位置・本数の変更をお客様へお願いする必要も出てくるでしょう。
いずれにしても根底にあるものは、お客様の目元をまつげダニから守り、マツエクを楽しんでいただきたいという真心。今回の内容をしっかり頭に入れて、ぜひサロンでの実践に役立ててくださいね!181125Eih

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